[42]モザンビーク

1.概   説

 75年のポルトガルからの独立後、現政府であるモザンビーク解放戦線(FRELIMO)とモザンビーク民族抵抗運動(RENAMO)との間の内戦が続いたが、90年7月、イタリアの仲介の下、両者間の和平交渉が開始され、92年10月モザンビーク包括和平協定が調印された。その後進められた和平プロセスは、94年10月の独立後初の複数政党制の下で行われた大統領選挙及び議会選挙により完結した。同選挙の結果チサノ大統領が選出され、長年の内戦等で流出した170万人の難民は帰還を終え、和平は定着した。99年12月の総選挙は平穏に行われ、チサノ大統領が再選、民主化及び復興への努力は着実に進んでいる。
 外交面では、独立以来非同盟主義を掲げつつ旧社会主義諸国との親密な関係を保持してきたが、83年頃を境に、経済開発を進める必要から英国等の先進諸国(モザンビークは95年に英連邦加盟)との関係強化に努めている。近年は南部アフリカ開発共同体(SADC)メンバーとしての活動にも力を入れている。
 経済面では、肥沃な土地に恵まれた農業国であり、漁業を含めた第一次産業がGNIの3分の1を占める。輸出用換金作物(カシューナッツ、綿花、砂糖等)の生産が多いのが特徴である。
 87年以降、IMF・世銀の支援の下、構造調整計画に取組んでおり、農業開発に重点をおく一方、財政・税制改革を行い、民間部門の活性化、経済の自由化、貧困の撲滅等を目標に経済再建計画を実施している。和平プロセス終了後、近年、モザンビークのマクロ経済は、年平均5%以上の経済成長を示す等好調な成果を上げ、南アフリカ共和国その他の諸国からの直接投資が増加している。2000年度の成長率は洪水災害の影響で2%台に落ち込んだ他、石油輸入に伴う外貨事情の悪化、内戦による経済インフラの破壊、南アに対する経済的依存等の構造的問題を抱えてはいるものの、2001年には初頭に再び洪水に見舞われたにもかかわらず14.8%の成長を達成する等、モザンビーク経済は着実に成長している。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

 我が国は、モザンビークからエビ等を輸入し(2001年輸入額2,181万ドル)、同国に自動車、機械、部品等を輸出している(同輸出額1,367万ドル)。

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) モザンビークに対する政府開発援助の基本的考え方
(イ) 我が国は、モザンビークは重債務貧困国(HIPC)の一つとして、「拡大HIPCイニシアティブ」による債務削減措置の対象国であることから、新規の円借款による協力は困難であり、無償資金協力、技術協力を中心とした協力を検討していく。無償資金協力については、食糧援助を実施しているほか、水供給分野、保健・医療分野、運輸分野等における援助を実施している。技術協力については、保健・医療、農林水産業、人的資源等の分野で研修員受入れや開発調査を中心とする援助を実施し、また、ODAアドバイザーとして専門家が派遣されている。更に、同国の構造調整努力を支援するため、2001年度までに合計130億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。98年10月には、同国南部に位置するガザ州マシンジール地区の地雷除去プロジェクトに対する支援としてUNDPを通じ100万ドルの緊急無償援助を実施した。
(ロ) また、2000年始めに南部アフリカ諸国を中心に甚大な被害を与えた大洪水後、我が国は特に被害の大きかったモザンビークに対し、国際緊急援助隊医療チーム派遣、緊急無償・物資供与、食糧援助等、総額500万ドル相当の支援を実施したほか、5月にローマに於いて行われたドナー支援会議の場において、同国の復興開発を支援すべく、緊急性の高い短期的な援助として、保健、食糧援助等の分野において無償資金協力による3,000万ドルの支援を表明した。また、中長期的な対応として、教育、農業、水、インフラ分野等における無償資金協力や、防災対策を含む各種技術協力を実施することとし、現在、協力を行っている。
 更に、2001年始めにも同地域を中心に洪水が発生し、右に対し我が国は緊急無償、物資供与の総額約50万ドルの支援を行った。
(ハ) 援助協調については、保健、教育、農業の各分野においてドナー会合が開催されており、我が国も定期的に開かれるセクター別及び農業開発プログラム、エイズ対策財政パートナー会合などといった課題別のドナー会合に積極的に参画している。
(2) 2001年度の援助実績
 2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力40.51億円、無償資金協力644.77億円(以上交換公文ベース)、技術協力47.05億円(JICA経費ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力39.63億円(交換公文ベース)、技術協力5.29億円(JICA経費実績ベース)を行った。
 無償資金協力については、灌漑、教育、インフラ整備、水供給等の分野における協力を実施した。
 技術協力については、農業、保健医療、インフラ整備等の分野における専門家、研修員受入れ、開発調査による協力を行った。
3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度実施開発調査案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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