(1) 2002年4月から5月にかけて行われた大統領選挙で、トゥーレ前暫定国家元首が選出された。トゥーレ大統領は、91年のクーデターでトラオレ軍事政権を打倒し、92年にコナレ大統領への民政移管を成功させた立役者として、また地域紛争解決に向けて積極的に取り組む仲介役として、マリ国民のみならず、国際社会からも高い評価を得ている。上記大統領選挙が民主的プロセスに基づいて実施され、コナレ前大統領からトゥーレ大統領に政権が平和裡に移行したことは、マリにおいて民主化が定着したことの現れと言えよう。
(2) 外交面では、歴史的に旧社会主義諸国との結び付きが強かったが、非同盟を基軸とし、近年は、先進諸国やアラブ諸国とも協調を図っている。また、95年以降アフリカ地域紛争に際し平和維持のための兵力を派遣、また小型武器問題に関し西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)内でイニシアティヴを発揮する等、地域の安定化に貢献している。
(3) 経済面では、就業人口の約80%が従事し、GDPの約50%を占める農業及び牧畜が主要な産業であるが、降雨量等自然条件に左右される上、旱魃等による食糧不足が恒常化している。また、綿花等の輸出用産品の価格低迷等で貿易赤字も恒常化し、経済基盤は脆弱である。今後、トゥーレ政権は、世銀・IMFの指導の下に構造調整・貧困削減努力を継続していくものと見られるが、モノ・カルチャー型経済の改善を含め、中・長期的な経済発展のための課題は依然として多く残っている。
(4) 我が国は、マリから実綿、採油用の種等を輸入し(2000年輸入額127万ドル)、同国に自動車、オートバイ等を輸出している(同輸出額573万ドル)。98年10月のTICADIIに際しコナレ大統領が訪日した。また、同大統領は、2001年1月の森総理(当時)のアフリカ訪問の際、ナイジェリアに赴き、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)の議長として、森総理(当時)と会談し、12月にはTICAD閣僚会議出席のため訪日している。