[38]マダガスカル

1.概   説

(1) 93年2月、新憲法下で大統領選挙が実施された結果、ザフィー大統領が選出された。同年6月に国会議員選挙が実施され、民主化プロセスを完了したものの、国内で大統領辞任及び内閣改造要求が強まり、96年5月には内閣不信任案が可決され、同年9月には同大統領の弾劾が決定された。同年11月~12月の大統領選挙の結果、ラチラカ元大統領が返り咲いた。その後、98年3月には憲法改正による国民投票、同年5月には国民議会選挙が実施され、7月にはアンドリアナリヴ首相を中心とした新内閣が成立、99年11月には地方議会選挙、2001年3月には上院議員選挙が実施されるなど、政局は安定的に推移していた。
(2) しかし、2001年12月に行われた大統領選挙の結果を巡り、ラチラカ大統領とラヴァルマナナ候補との間で対立が起こり国内は混乱した。
(3) 外交面では、インド洋における仏語圏の拠点として、仏との友好関係に力点を置きつつ、経済開発を進める観点からは先進諸国との関係強化を図っている。
(4) 経済面では、労働人口の80%、GDPの約30%を農業が占めている。91年以降の内政混乱により経済は低迷し、94年は二度にわたり、今世紀最大級といわれる大型サイクロンの被害を受け、政府は、消費物資の輸入禁止等、IMF・世銀の支援する構造調整に逆行する措置を取った。その後、自由変動相場制の導入等の自由化政策を強化し、96年11月、IMF・世銀との間で構造調整に関し合意が成立した。これによりマクロ経済はかなり安定したが、2002年前半の政治情勢の混乱により、経済も悪化した。この間のGDP成長率はマイナス12%である。現在は、経済状況も安定し、今後は、財政・金融面の改善、国内生産及び輸出の増進、投資促進等が課題である。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

(5) 我が国は、マダガスカルからエビ、バニラ、丁字等を輸入し(2000年輸入額3,127万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額3,357万ドル)。

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) マダガスカルに対する政府開発援助の基本的考え方
 我が国は有償資金協力、無償資金協力及び技術協力の各形態により援助を実施してきたが、マダガスカルは拡大HIPCイニシアティブの適用を受けており、現在、新規円借款の供与による協力は困難であることから、近年は無償資金協力の比重が高まっている。97年12月には、無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施し、基礎生活分野、地方開発に資するインフラ分野、環境分野及び人造り分野を重点分野として援助を実施することを確認した。今後とも、同国の政情、経済改革努力等に留意しつつ、無償資金協力及び技術協力を中心に援助実施を検討していく方針である。
 無償資金協力については、食糧援助・食糧増産援助に加え、基礎教育・医療・水供給分野等の基礎生活分野を中心に、水産、経済インフラ分野についても積極的に援助を実施している。また、同国の構造調整努力を支援するため、2000年度までに合計124億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。しかしながら、2001年12月の大統領選挙に端を発して政争が激化し、治安も悪化したため、予定していた無償資金協力2案件の実施を見合わせ給水分野の1案件と草の根無償のみを実施した。
 技術協力については、研修員受入れ、専門家派遣、開発調査を中心に、保健医療、農林水産業、運輸・交通、基礎生活等の分野において実施している。2000年10月には青年海外協力隊派遣取極を締結した。
 マダガスカルにおいては、「マジュンガ大学病院センター医療整備計画」において日・仏の援助協調が行われている。
(2) 2001年度の援助実績
 2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力411.01億円、無償資金協力497.00億円(以上交換公文ベース)、技術協力91.60億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力5.69億円(交換公文ベース)、技術協力5.58億円(JICA経費実績ベース)を行った。
 無償資金協力については、水供給分野、道路整備のほか、草の根無償資金協力も実施している。技術協力については、研修員受入、専門家派遣(林業、水産、保健、公衆衛生、消防・災害対策)、第三国専門家派遣(インドネシアから、農業分野)を中心に協力を実施したほか、ユニセフとのマルチ・バイ協力の下で感染症対策のための機材供与等を行った。
 また、技術協力プロジェクトとして、マジュンガにおいてエビ養殖センターを拠点とした人材育成を行っている。
3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施開発調査案件
(参考3)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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