[32]ナミビア
1.概 説
ナミビアは90年3月に南アフリカ共和国から独立を果たし、94年12月には、独立後初の国民議会選挙が実施された。その結果、ヌヨマ現大統領の率いるSWAPO(南西アフリカ人民機構)が勝利し、隣国南アに続き、ナミビアでも黒人政権が誕生した。同政権は、人口の約6割が居住する北部地域を中心に積極的な国造りを進め、独立後5年間のうちに、教育・軍事等における国民和解を極めて平和裡な形で達成した。こうした実績を背景に、ヌヨマ大統領は99年12月に実施された大統領選挙で圧倒的多数をもって再選され、同時に行われた国民議会選挙でも与党SWAPOが勝利した。
外交面では、アフリカ連合(AU)、南部アフリカ開発共同体(SADC)、南部アフリカ関税同盟(SACU)、南部アフリカ市場共同体(COMESA)等に加盟し、南部アフリカの一員としての行動を重視しているほか、特に経済面において先進諸国との関係強化を図っている。なお、同国は2000年末まで国連安全保障理事会非常任理事国を、2000年8月から1年間はSADCの議長国を務めた。
産業の中心は、ウラン、ダイヤモンド等の鉱業及び農林水産業(GNIの約22%、輸出の約85%)である。農業は輸出向けの牧畜が中心であり、穀物の自給率は低く国内需要の4割に満たないため、南アへの食糧依存度は高い。また、ナミビア沖は豊かな漁場を形成しており、水産業の振興は、雇用創出、輸出振興に大きく貢献している。低インフレ率、プラス成長及び経常収支の黒字を維持しており、経済は安定している。自由主義経済を基調とした経済体制作りを目指しているが、人口の6%に過ぎない富裕な白人層と大部分の低所得層との間の二重構造と、黒人を中心とした多数の失業者の雇用問題という課題が存在する。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
我が国は、ナミビアからエビ、カニ等を輸入し(2001年度輸入額約19億9千万円)、同国に自動車・部品、電気機器等を輸出している(同輸出額約4億5千万円)。
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) ナミビアに対する政府開発援助の基本的考え方
我が国は、これまで食糧増産援助、地下水開発、住宅建設などの社会インフラ整備に対する無償資金協力、社会インフラ整備・行政等の分野での研修員受入れ等の技術協力を実施している。94年4月には無償資金協力及び技術協力に関する経済協力政策協議を実施した。
今後は、同国の一人当たりGNI(1,960ドル、2001年)の水準が比較的高く、無償資金協力の供与基準を上回っていることから一般無償プロジェクトの協力は困難であるが、経済状況も良好であることから、経済社会開発に資する優良な有償資金協力案件及び技術協力案件があれば検討していく。
(2) 2001年度の援助実績
2001年度のナミビアに対する援助実績は1.69億円。うち、無償資金協力は0.17億円(交換公文ベース)、技術協力は1.52億円(JICA経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、無償資金協力は62.05億円(交換公文ベース)、技術協力16.90億円(JICA経費実績ベース)である。
無償資金協力については、草の根無償資金協力による協力を行った。
技術協力については、農業、保健医療、教育等の分野における専門家派遣や研修員受入れによる協力を行った。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度実施開発調査案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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