[30]ト ー ゴ
1.概 説
(1) 67年のクーデターでエヤデマ大統領が権力を掌握して以来、西アフリカで最も安定していた国の一つに数えられていた。90年以降民主化の動きが高まり、91年8月には国政上の実権がエヤデマ大統領から暫定政府のコフィゴー首相に移管されたが、同大統領を支持する軍の一部が首相襲撃未遂事件を起こす等、民主化プロセスの妨害が続いた。その後、94年2月の国民議会選挙の結果、野党側が過半数の議席をおさえ、野党第二党のコジョー氏が首相に指名され、民主化への再度の歩みが始まった。98年6月、大統領選挙が実施されエヤデマ大統領は再選されたが、野党側は投票結果に操作があったとして抗議を行い、99年3月に行われた国民議会選挙では全野党が選挙をボイコットするなど与野党間の政治的緊張が急速に高まった。こうした内政の緊張状況に対し、仏、独、EU、仏語圏の代表が仲介に当たり、99年7月、与野党間合意が署名され、エヤデマ大統領は国民議会選挙の再実施と2003年の任期満了に伴い政権を降りることを約束した。2002年3月の国民議会選挙は、内政の混乱から延期された。
(2) 外交面では、穏健な非同盟中立路線を基調として、仏・独・米等西側諸国との関係は基本的には良好であるが、98年6月の大統領選挙を契機とする野党の対立等もあり、民主主義の根幹にかかる内政問題の推移を主要援助国は注視している状況にある。
アフリカ域内では、積極的に紛争の平和的解決に努力してきており、リビア・チャド関係の正常化、モーリタニア・セネガル間の紛争調停、ナイジェリア・カメルーン国境紛争にも関与。99年中にはECOWAS議長国としてギニア・ビサオ紛争、シエラレオネ紛争の仲介の役割を積極的に果たしている。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
(3) 同国経済は、燐鉱石・綿花・コーヒー・カカオの輸出が重要な位置を占めており、70年代に一次産品の国際価格の上昇に伴い高度成長を遂げたが、80年をピークにこれら一次産品価格は下落の一途をたどったこと、併せて90年後半よりの政治的混乱も加わり同国経済は悪化していった。その後、政治的混乱が93年の後半に沈静化したこと、更に94年1月にCFAフランが切り下げられたため、一時は回復基調に向かった。しかし、98年には約8カ月にわたるエネルギー危機(電力不足)及び同年6月の大統領選挙以降の政治的危機の発生に伴い経済は再び停滞しており、2000年のGDP成長率は0.5%に止まっている。
(4) 我が国は、トーゴから実綿等を輸入し(2000年輸入額17万ドル)、同国に自動車、綿織物等を輸出している(同輸出額2,207万ドル)。
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) トーゴに対する政府開発援助の基本的考え方
我が国は、これまで無償資金協力及び保健医療・工業分野等での研修員受入れ等の技術協力を中心に援助を実施しており、無償資金協力については、食糧援助、食糧増産援助、水供給等の基礎生活分野を中心に実施してきた。また、同国の構造調整努力を支援するため、これまで合計約93億円の円借款と合計17億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。
93年1月以降、反政府勢力・民主派への弾圧が多く見られたため、主要援助国は原則として援助を停止し、我が国も事実上援助を停止していた。その後、民主化プロセスの再開により、96年8月我が国は、ODA大綱、国内情勢の安定化等を総合的に勘案し、援助を再開することとした。
今後の援助の実施については、同国の政治的安定性及び援助受入能力を見極めつつ基礎生活分野を中心に検討していく。
(2) 2001年度の援助実績
2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力93.46億円、無償資金協力132.02億円(以上交換公文ベース)、技術協力6.26億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力0.07億円(交換公文ベース)、技術協力0.27億円(JICA経費実績ベース)を行った。
無償資金協力については、草の根無償資金協力を実施した。
技術協力については、研修員受入を中心に協力を実施した。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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