90年12月にハブレ大統領から政権を奪ったデビー元司令官は、議会解散、憲法停止を行い国家評議会を組織し、自ら同評議会議長に就任した後、91年3月には、大統領に就任し、複数政党制を導入するなど民主主義体制の確立を表明した。その後、93年1月、民主化プロセスの進め方を議論する国民会議、96年3月新憲法の国民投票を経て、同年7月及び2001年5月に大統領選挙(いずれも同大統領再選)、97年1月―2月に国民議会選挙が実施され、民主化プロセスは進展してきている。
外交面では、国家再建の見地から現実的外交を推進し、リビアとの友好関係を確保しながら、経済再建のためにもフランスを中心とした先進国及び近隣諸国との関係強化に努めている。
経済面では、GDPの約38%を占める第一次産業が労働人口の約72%を占めており、特に、綿花産業については外貨所得の約3分の1を占めている。94年1月の通貨(CFAフラン)切り下げ後、実質GDP成長率はプラスに転じ、98年の成長率は6.4%に達した。しかし、99年には綿花の凶作及び綿花価格の下落のために、成長率は0.5%(99年)と落ち込み、その後も-0.3%(2000年)と低迷している。一方、同国南部には埋蔵量10億バーレルといわれる石油が存在し、2000年から世銀の融資を受けて石油施設建設が進められており、2003年以降25年にわたり、年間20億ドルの石油収入が見込まれており、同国経済にとり明るい材料となっている。
我が国は、チャドから実綿等を輸入し(2000年輸入額110万ドル)、同国に鉄鋼板、自動車等を輸出している(同輸出額179万ドル)。