[26]ソマリア

1.概   説

 69年以来政権の座にあったバレ政権が反政府勢力の攻勢により91年1月に崩壊し、反政府勢力の一つであるUSC(統一ソマリア会議)が暫定政権樹立を宣言した。しかし、同政権も実質的な機能を果たせないまま、ソマリアは無政府状態に陥った。
 これに対し、人道援助のための安全な環境の確保を目的として、93年4月に第2次国連ソマリア活動(UNOSOM:統一タスクフォース軍(UNITA))の業務が開始されたが、95年4月には撤退した。エチオピア、エジプト等の近隣諸国による和平仲介努力も継続的に試みられたが、和平合意には至らなかった。2000年には、ジブチのイニシアチブにより開催された「アルタ和平会議」により、8月には暫定国民議会が発足し、サラ・ハッサン暫定大統領が選定され、同10月には、ガライア暫定首相を中心とする暫定政府が発足した。しかしながら、反暫定政府勢力はこれに反発し、2001年3月にはソマリア和平復興評議会(SRRC)を設立、暫定政府に対する統一戦線を形成し、武力闘争は激化した。かかる状況を打開するべく、2002年1月に行われたIGAD(政府間開発機構)閣僚・首脳会議において、ケニア、エチオピア、ジブチといった隣国が協力し、ケニアにおいてソマリアの全ての勢力を集めての和平会議を開催することが決定され、同年10月中旬に、国民和平会議が開会、同月下旬には停戦合意が成立したが、その後も武力闘争が続いている。
 ソマリアの産業は牧畜・農業が中心であるが、外貨資源につながる資源には恵まれていない。更に、91年1月以降の内戦により国内インフラが破壊されており、現在、経済基盤は壊滅的な打撃を受けている。また、旱魃と内戦により中南部を中心に大規模な飢餓が発生し、全人口の約3分の1に相当する150万人以上が飢餓に直面しているとされている。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

 我が国は、同国に自動車等を輸出しているが(2001年輸出額約2千万円)、内戦状態のため貿易は極めて限られている。


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) ソマリアに対する政府開発援助の基本的考え方
 ソマリアにおける内戦発生後は、我が国より同国への二国間ベースの援助は困難となったが、飢餓に直面する同国内の被災民及び周辺国に流出した難民に対する援助として、92年以降WFP経由の食糧援助及びUNHCRへの拠出等、総額約5,760万ドル(難民に対する実績はアフリカ地域総論部分参照)に及ぶ人道援助やUNICEFを通じた初等教育支援を実施している。
 ソマリアの中長期的な復興のための援助等二国間ベースの協力については、国内的にも国際的にも認知された正統性のある政府の樹立後に、ソマリア側の援助受入れ体制の整備、治安状況の回復等の状況を見極めつつ、検討していく必要がある。
(2) 2001年度の援助実績
 〔2001年度のソマリアに対する援助実績はなし(技術協力はJICA経費実績ベース)。〕2001年度までの援助実績は、有償資金協力は66.06億円、無償資金協力は176.67億円(以上、交換公文ベース)、技術協力8.68億円(JICA経費実績ベース)である。2001年度は技術協力として、留学生1名の受入れを行った。


3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績

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