[25]セネガル

1.概   説

(1) 独立以来、内政面で極めて高い安定を維持してきた国で、既に76年に複数政党制を導入しており、アフリカの中では最も民主化の進んだ国の一つである。2000年3月の大統領選挙では、変革を求める若年層の支持を得たワッド候補が当選したが、平和裡に政権交代が行われたことで、セネガルにおける民主主義の定着を内外に印象づけた。
 内政上の重要問題となっている南部カザマンス地方の分離独立問題を巡っては、政府と反政府勢力の「カザマンス民主解放運動」(MFDC)との停戦合意にもかかわらず、ゲリラ活動が散発しており、またMFDC内部でも対立があるなど、未だ和平の道筋はたっていない。
(2) 外交面では、旧宗主国フランスとの協調を基軸とし、先進諸国寄りの穏健な非同盟主義を基本とするほか、アラブ諸国及びイスラム諸国とも緊密な関係を有している。また、ルワンダ内戦等に際しては、軍隊を派遣する等、紛争解決や人道援助活動でも国際社会と歩調を合わせつつ積極的な貢献を行っている。
(3) 経済面では、落花生等農業が中心であるが、一次産品価格の低迷等により、財政赤字、国際収支赤字、対外債務問題が恒常化している。79年より世銀・IMFの支援を受けて構造調整に取組んでいるが、構造調整政策に対する国内の不満や、農業生産の低迷等の困難に直面している。94年1月の通貨(CFAフラン)切り下げ以降、政府は緊縮財政をとり、民営化等に努力した結果、観光業、漁業等を中心に経済は上向き、98年の経済成長率は5.7%、同年のインフレ率は2.0%となっている。政府は、民間主導による経済発展、民営化推進のための投資環境整備、貧困対策としての基礎教育及び医療・保健等の社会的側面への一層の配慮を目指している。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

(4) 我が国との関係は従来から良好である。要人往来も活発で、我が国からは84年皇太子・同妃両殿下(当時)がセネガルを訪問し、セネガルからはディウフ大統領が88年6月(国賓)及び90年11月(即位の礼)に訪日した。
 貿易関係については、我が国はセネガルから水産物、燐製品等を輸入し(2000年輸入額625万ドル)、同国に貨物・乗用自動車、合成繊維等を輸出している(同輸出額3,572万ドル)。


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) セネガルに対する政府開発援助の基本的考え方
 我が国は、セネガルが、西アフリカの中心国の一つとして政治的に大きな発言力を有していること、仏語圏アフリカ諸国の中で中心的な役割を果たしていること、76年以来複数政党制を採用し、アフリカ有数の民主主義国家として政情が比較的安定していること、79年より世銀・IMFの支援の下、構造調整・経済再建に積極的に取り組んでいること、人口増加率の高さ、砂漠化等多くの開発課題を抱えており、援助需要が大きいこと、我が国との関係も緊密で我が国の対西アフリカ外交の中心国の一つであること、具体的な開発目標を掲げ、経済社会開発のための主体性(オーナーシップ)を期待するセネガルの開発政策は、DAC新開発戦略の趣旨にも合致することなどから、同国に対して重点的に援助を行っている。
 我が国は、セネガルにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究及び95年3月に派遣した経済協力総合調査団及びその後の政策協議、2000年6月のプロジェクト確認調査におけるセネガル側との政策対話を踏まえ、基礎的生活基盤の改善(生活用水、教育、基礎的保健・医療)、環境(砂漠化防止)、農水産業を重点分野として援助を実施していく方針である。
 無償資金協力については、農業分野、水産分野、水供給分野、保健・医療分野、教育分野等の基礎生活分野を中心に幅広く協力を行っている。
 技術協力については、農林水産、保健・医療、基礎生活、環境保全(砂漠化防止)、職業訓練、通信放送等の幅広い分野で協力している。開発調査については、社会経済基盤等の分野を中心に実施している。また、同国の技能労働者育成に貢献するため、84年度から92年度に技協プロジェクト「日本・セネガル職業訓練センター」、99年からは新プロジェクト「セネガル職業訓練センター拡充計画」が実施されている。
 2000年3月には、西アフリカ地域内に於ける安全な水の確保をテーマとするセミナーを実施した。
 我が国は、同国の構造調整努力を支援するため、90年度までに合計121億円の円借款を供与した。また、2001年度までに合計144億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。ただし、セネガルは拡大HIPCイニシアティブの適用を受けており、現在、新規円借款の供与による協力は困難である。
(2) 2001年度の援助実績
 2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力178.84億円、無償資金協力809.86億円(以上交換公文ベース)、技術協力193.78億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力32.25億円(交換公文ベース)、技術協力16.8億円(JICA経費実績ベース)を行った。
 無償資金協力については、教育、保健、林業、水産分野、食糧分野、草の根無償資金協力等も実施している。技術協力については、研修員受入、専門家派遣、青年海外協力隊派遣を中心に協力を実施したほか、保健分野においてUNFPA、ユニセフと協力して機材供与を行った。
 また、技術協力プロジェクトサイトである「日本・セネガル職業訓練センター」では、周辺諸国より研修員を受け入れて第三国研修を実施しており、西アフリカ域内の人材育成の拠点となっている。


3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施開発調査案件
(参考3)2001年度実施草の根無償資金協力案件

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