[22]スワジランド

1.概   説

 86年に即位したムスワティ三世国王は、それまで国政の責任を負っていた最高評議会を解散し、権力基盤の強化を図った。他方、東西冷戦の終了とともに国民の民主化意識が高まり、93年10月には20年ぶりに総選挙が実施された。しかし依然として政党活動が禁止されている等、民主的な新憲法制定が当面の課題となっている。2001年8月には、ムスワティ三世国王が設置した憲法見直し委員会(CRC)が最終答申を発表しており、今後の動静が注目されている、
 外交面では、非同盟・平和主義を基軸とし、先進諸国寄りの現実的かつ穏健路線を取っている。また、国土の三方を接する南アフリカに経済的に大きく依存しているため、同国との関係に細心の注意を払っている。
 経済面では、輸出用農産物及び鉱産物を中心とする貨幣経済と小農の自給自足経済の二重構造となっている。製造業がGDPの約47%を占め、農林業がGNIの約10%を占めている。砂糖精製やウッドパルプのような国内で産出される一次産品の加工が製造業の中核をなし、農林業分野では、輸出用換金作物として砂糖、木材、柑橘類等を生産しており、特に砂糖は7,600万ドルを輸出する代表的輸出品である。また、近年は米国によるアフリカ成長機会法(AGOA)の恩恵を受け、米国向けの繊維輸出業が順調に発展している。また、南アフリカ、ボツワナ、レソト及びナミビアと南部アフリカ関税同盟(SACU)を結成し、この配分税収が歳入の約50%を占めている。レソト、ナミビアとともに南アフリカのランド通貨圏に属している。
 我が国は、スワジランドから柑橘類、木材等を輸入し(2001年度輸入額約9億円)、同国にスライドファスナー部品、自動車等を輸出している(同輸出額6億7千万円)。98年10月のTICADIIに際しムスワティ三世が来日した。要人往来面では、98年10月のTICAD2に際しムスワティ三世が来日したほか、2001年12月にはTICAD閣僚レベル会合に出席するため、グドゥザ経済計画開発大臣及びヌチャンガゼ外務貿易大臣が来日した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) スワジランドに対する政府開発援助の基本的考え方
  スワジランドは、一人当たりのGNI(1,388ドル、2001年)の水準が比較的高く、援助実績は少額に留まっているが、我が国は、食糧増産援助及び農業及び保健・医療、行政分野等の研修員受入れを中心に援助を実施している。また、全国地図作成等にかかる開発調査を実施している他、2000年9月には、同国に対し初めて有償資金協力「北部幹線道路建設計画」を供与した。
  94年4月には、無償資金協力及び技術協力に関する経済協力政策協議を実施した。今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、基礎生活分野を中心に援助実施を検討していく方針である。また、有償資金協力についても、案件規模及び債務残高に留意しつつ、道路整備等、必要性の高い分野につき案件の規模を考慮しながら検討していく方針である。
(2) 2001年度の援助実績
  2001年度までの我が国の援助実績では、有償資金協力44.12億円、無償資金協力64.07億円(以上交換公文ベース)、技術協力28.91億円(JICA経費ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力2.33億円(交換公文ベース)、技術協力3.49億円(JICA経費実績ベース)を行った。
  無償資金協力については、食糧増産援助等による協力を行った。
  技術協力については、保健医療や農業等の分野における研修員受入れによる協力を行った。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度実施開発調査案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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