86年に即位したムスワティ三世国王は、それまで国政の責任を負っていた最高評議会を解散し、権力基盤の強化を図った。他方、東西冷戦の終了とともに国民の民主化意識が高まり、93年10月には20年ぶりに総選挙が実施された。しかし依然として政党活動が禁止されている等、民主的な新憲法制定が当面の課題となっている。2001年8月には、ムスワティ三世国王が設置した憲法見直し委員会(CRC)が最終答申を発表しており、今後の動静が注目されている、
外交面では、非同盟・平和主義を基軸とし、先進諸国寄りの現実的かつ穏健路線を取っている。また、国土の三方を接する南アフリカに経済的に大きく依存しているため、同国との関係に細心の注意を払っている。
経済面では、輸出用農産物及び鉱産物を中心とする貨幣経済と小農の自給自足経済の二重構造となっている。製造業がGDPの約47%を占め、農林業がGNIの約10%を占めている。砂糖精製やウッドパルプのような国内で産出される一次産品の加工が製造業の中核をなし、農林業分野では、輸出用換金作物として砂糖、木材、柑橘類等を生産しており、特に砂糖は7,600万ドルを輸出する代表的輸出品である。また、近年は米国によるアフリカ成長機会法(AGOA)の恩恵を受け、米国向けの繊維輸出業が順調に発展している。また、南アフリカ、ボツワナ、レソト及びナミビアと南部アフリカ関税同盟(SACU)を結成し、この配分税収が歳入の約50%を占めている。レソト、ナミビアとともに南アフリカのランド通貨圏に属している。
我が国は、スワジランドから柑橘類、木材等を輸入し(2001年度輸入額約9億円)、同国にスライドファスナー部品、自動車等を輸出している(同輸出額6億7千万円)。98年10月のTICADIIに際しムスワティ三世が来日した。要人往来面では、98年10月のTICAD2に際しムスワティ三世が来日したほか、2001年12月にはTICAD閣僚レベル会合に出席するため、グドゥザ経済計画開発大臣及びヌチャンガゼ外務貿易大臣が来日した。