[20]ジブチ
1.概 説
77年にフランスから独立した。同国を構成する住民の大部分であるイッサ族(ソマリア系)とアファール族(エチオピア系)は習慣の相違などから歴史的に対立意識が強く、独立直後より騒擾事件等により政情不安が生じていた。その後、91年11月には武力衝突を機に内戦へ発展した。独立以来政権の座にあった、グーレド大統領(イッサ族出身)は、両部族間の和平対話が行き詰まる中、複数政党制の導入等民主化に着手し、92年12月に国民議会選挙、93年5月に大統領選挙を実施し、民主化プロセスは順調に進んだ。94年12月には政府とアファール族のFRUD(統一と民主主義回復のための戦線)との間で和平合意が成立し、97年12月、和平後初の国民議会選挙が実施された。99年4月には大統領選挙が行われ、ゲレ大統領が当選した。2000年2月、政府は94年の和平合意を不服として反政府活動を続けてきた「武装FRUD」との間で枠組み合意を署名、2001年5月には最終和平案が同意された。
外交面では、旧宗主国フランスをはじめ全ての国との友好・協力関係の維持に努めている。特に、アラブ連盟加盟国である同国は、サウジ・アラビアを中心とするアラブ穏健派及びエチオピア、ソマリア等近隣諸国との関係が深く、多くのエチオピア、ソマリア難民を国内に受け入れている。また、旱魃対策、地域開発及び地域紛争解決を目的とする政府間開発機構(IGAD、東部アフリカ7カ国からなる)を通じ地域の安定に貢献している。2001年の同時多発テロ事件以降、同国は国際テロを糾弾し、従来から駐留する仏軍に加え、米軍、独軍等の駐留を認め、国際テロ対策への協力姿勢を鮮明にしている。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
経済面では、国土の大部分が不毛で農業は未発達、地下資源にも恵まれず、GDPの76%を占めるサービス部門が中心であり、エチオピア向け輸出入品の鉄道輸送、中継貿易、港湾役務提供、フランス軍駐留による経済的利益、外国援助等による収入に依存している。現在、フランス及び湾岸諸国からの援助の減少、周辺国からの難民受入等により、経済は厳しい状況にあり、2000年3月よりは、貧困削減ファシリティーを実施するなどマクロ経済の安定に向けた努力をしている。
我が国は、ジブチに対し自動車等を輸出している(2000年輸出額2,023万ドル)。
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) ジブチに対する政府開発援助の基本的考え方
我が国は、同国が民主化に向けて努力し、東アフリカ地域において重要な政治的役割を果たしていることから、食糧援助をはじめ、医療、教育、水供給、運輸、放送分野等に対する無償資金協力及びインフラ整備、農業、医療等の分野における研修員受入れ等の技術協力を実施している。今後は、同国の経済安定化を支援するため、基礎生活分野等を中心に援助実施を検討していく方針である。99年3月には青年海外協力隊派遣取極を結んだ。
(2) 2001年度の援助実績
2001年度までの我が国の援助累計実績では、無償資金協力169.95億円(交換公文ベース)、技術協力15.14億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力8.29億円(交換公文ベース)、技術協力1.75億円(JICA経費実績ベース)を行った。
無償資金協力については、水供給分野、食糧援助(WFP経由)のほか、草の根無償資金協力も実施(10.29億円)している。技術協力については、研修員受入、青年海外協力隊派遣を中心に協力を実施した。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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