シエラレオネでは、91年に反政府勢力(RUF)との武力衝突がおこり、以後内戦状態が継続してきた。96年、大統領選挙によりシエラレオネ人民党(SLPP)のカバ大統領が就任、99年7月のロメ和平合意締結後、国際社会の支持も得て、同年10月より国連PKO(国連シエラレオネ・ミッション:UNAMSIL)として6,000名の要員派遣及び右に伴う「元兵士の武装解除、動員解除及び社会復帰計画(DDR計画)」が展開された。
2000年5月、反政府勢力による国連PKO要員拘束事件や英国兵拘束事件等の混乱があったが、以後反政府勢力との和平合意や武装解除の実施についての合意が実現し、国内和平が進展した。2002年1月、武装解除プロセスの完了と内戦の終結がカバ大統領により公式に宣言された。今後の同国における平和の定着と社会復興が期待されている。
外交面では非同盟主義、各国の主権尊重、内政不干渉を基本理念とし、地域レベルにおいてはMRU(マノ川同盟)、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)の一員として協力するなど、近隣諸国との関係は緊密である。他方、近年は隣国リベリアの情勢不安定による難民の流入問題が懸案となっている。
経済面では、ダイヤモンド、金、ボーキサイト等の鉱物資源、カカオ、コーヒー等の商品作物の輸出により外貨を得ているが、これらの国際市況の低迷、密輸の横行等を背景に経済は低迷している。また、長年にわたる内戦により、ダイヤモンド、カカオ等の主要産品の生産地域は荒廃し、主要食糧生産地域から農民が大量に流出している。92年に債務軽減と経済復興を目的としてIMFの経済再建プログラムを受入れ、財政・金融の引き締め等を図った結果、経済は一時安定化に向かったが、その後内戦が続いたため、経済状態は悪化した。2002年現在、約10年続いた内戦により主要外貨収入源である鉱物資源の輸出が滞り、社会的インフラが大きな損害を受ける等、経済は大きく停滞している。今後の復興に向けた経済活性化と開発への努力が期待されている。