[10]ギ ニ ア

1.概   説

 84年のクーデター直後に樹立されたコンテ政権は、従来のセク・トゥーレ路線を大きく改め、世銀・IMF等の国際機関からの支援を得つつ、社会主義・一党独裁体制から、複数政党制導入を伴う自由主義体制への移行を推進した。93年12月に実施された初の大統領選挙では、ランサナ・コンテ大統領が選出され、98年12月の大統領選挙で同大統領が再選された。しかし、2001年12月には大統領再選禁止規定の改正に関する国民投票が実施されたことなど、同国の民主化プロセスについてはさらに努力すべき点も多い。
 外交面では独立以来、社会主義陣営寄りの非同盟路線を採ってきたが、コンテ政権成立後は、フランスをはじめとする先進諸国との関係強化、及び近隣諸国との友好関係の維持に努めている。国民の8割近くがイスラム教徒であるため、アラブ、イスラム圏諸国との連帯感も強い。また、ギニアは西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)加盟国として、西アフリカ地域における平和の定着に取り組むとともに、内戦に見舞われる近隣諸国からは多数の難民を受け入れるなど、同地域の安定に大きく貢献している。
 経済面では、基本的に農業・水産業等に依存している。とりわけ農業については全労働人口の約80%が従事している。しかし、耕作・牧畜に適した土壌を有するものの、農業の生産性は低く、国内総生産の25%程度を占めるに留まっている。また、ギニアはボーキサイト、金、ダイヤ等の鉱物資源を豊富に有しているが、独立後の社会主義体制による混乱、及び外国による援助・投資の減少によるインフラ整備の遅れから、豊富な資源の存在が全体的な経済開発には必ずしも繋がっていない。また、85年以降、世銀・IMFの協力を得て構造調整計画を推進してきているが、その影響として失業の増加、都市部への人口の集中、貧富の差の拡大といった社会不安も増大しており、失業・貧困対策、経済の多様化が今後の課題となっている。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

 我が国は、ギニアから海産物、アルミニウム鉱等を輸入し(2000年輸入額約329万ドル)、同国に自動車、鉄鋼板等を輸出している(同輸出額1,327万ドル)。

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) ギニアに対する政府開発援助の基本的考え方
 我が国は、これまで運輸分野等における有償資金協力のほか、食糧、水供給、教育分野等、基礎生活分野を中心とする無償資金協力、また、農業、通信・放送分野等での研修員受入れ等の技術協力を実施している。また、同国の構造調整計画を支援するためのノン・プロジェクト無償資金協力は88年度以降6度実施し、2001年度までに総額55億円に達している。今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、基礎生活分野を中心に援助の実施を検討していく方針である。また、農業国であるギニアは、政府の政策としても農業開発を重視しており、同国の農業開発及び食糧安全保障に貢献していく考えである。ただし、ギニアは拡大HIPCイニシアティブの適用を受けており、現在、新規円借款の供与による協力は困難である。
(2) 2001年度の援助実績
 2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力160.10億円、無償資金協力348.35億円(以上交換公文ベース)、技術協力43.17億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力27.67億円(交換公文ベース)、技術協力1.21億円(JICA経費実績ベース)を行った。
 無償資金協力については、水供給、水産分野に加え、食糧援助、食糧増産援助、ノンプロ無償等のほか、草の根無償資金協力も実施している。
 技術協力については、研修員受入を中心に協力を実施した。
3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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