[9]ガンビア

1.概   説

 94年7月、70年に共和制への移行以来長期政権を維持してきたジャワラ政権は、ジャメ中尉による無血クーデターにより崩壊し、軍事政権が樹立された。ジャメ政権は2年間の民政移行期間を経て、96年9月に大統領選挙を実施し、ジャメ大統領が選出された。97年1月、国民議会選挙が実施され、国民議会の招集により民生移管は完了した。2001年10月の大統領選挙で再選を果たしたジャメ大統領は、2002年1月の国民議会選挙で与党が圧勝したこともあり、安定した政治基盤に基づく政権を維持しており、民主化及び経済改革に努力している。
 外交面では、ジャワラ前政権は、穏健な非同盟主義を基調としつつ、英連邦加盟国としての西側諸国との友好的関係維持、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)内における発言力強化に努めてきた。現政権はイスラム諸国及びECOWAS諸国等近隣諸国との関係強化に努めている。また、リビア、台湾、キューバ及び中東諸国と緊密な関係を保っている。
 経済面では、GDPの約30%と労働人口の約80%を農業が占める農業国であるが、一次産品の国際価格の低迷等による経済困難に陥り、86年から世銀・IMFの支援の下、包括的な構造調整を実施してきた。94年7月のクーデター発生後は、主要産業である観光業が打撃を受けたが、民主化の進展、治安の安定化とともに政変前の賑わいを取り戻している。また、クーデター以降中断されてきた世銀・IMFによる構造調整支援は、98年より再開し、マクロ経済政策と構造調整の結果、2000年の実質GDP成長率は5%を達成した。しかしながら、貧困は増加の一途をたどっており、依然として厳しい環境にある。
 我が国は、ガンビアから魚介類等を輸入し(2001年輸入額72,572千円)、同国に鉄鋼、自動車等を輸出している(同輸出額573,498千円)。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) ガンビアに対する政府開発援助の基本的考え方
 我が国は、94年7月のクーデター以前は、食糧分野、水産分野、水供給分野等における無償資金協力及び行政、農業分野等での研修員受入れ等の技術協力を中心に実施し、90年度及び92年度には、ガンビアの構造調整改革努力を支援するため、合計6億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。
 しかし、上記クーデタ発生を機に、94年から、我が国はODA大綱を踏まえ、緊急的かつ人道的性格を有する援助を除き、原則として新規の援助を見合わせていたが、96年に入り一連の民主化プロセスが進展したことに鑑み、98年2月に無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施した。今後は、当面、即効性が高く広く国民に裨益する食糧援助を中心に、基礎生活分野及び水産分野に資する支援等につき検討していく方針である。
(2) 2001年度の援助実績
 2001年度までの我が国の援助累計実績では、無償資金協力94.89億円(交換公文ベース)、技術協力12.47億円(JICA経費実績ベース)、2001年度では10.60億円(以上交換公文ベース)、技術協力2.10億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。
 無償資金協力については、水産無償、食糧援助の他、草の根無償資金協力を実施している。
 技術協力については、研修員受入、専門家派遣(水産)を中心に協力を実施した。


3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度実施開発調査案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件

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