[1]アンゴラ
1.概 説
75年のポルトガルからの独立以来、現政府であるアンゴラ解放人民運動(MPLA)とアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)との間で激しい内戦が2002年4月まで継続した。その間、国連をはじめとする国際社会の和平努力が続けられ、91年5月にはアンゴラ包括和平協定(ビセス合意)が調印され、同協定に基づき92年9月には国連の監視のもと、大統領選挙及び議会選挙が行われたが、選挙結果への不満を理由にUNITAが武力行使に出て、内戦が再開した。また、94年11月にはルカサ協定が成立、第三次国連アンゴラ検証団(UNAVEMIII)の派遣、97年4月の統一国民和解政府の成立、同年6月のUNAVEMIIIに代わる国連アンゴラ監視団(MONUA)の活動開始等、和平に向けた動きも見られたが、UNITAの和平プロセス義務不履行等により和平プロセスは停滞した。その結果、98年頃から内戦は再び激化、同年末及び99年初頭に国連輸送機が撃墜されるに至り、99年3月、安保理はMONUAを撤収した。同年10月、政府軍はUNITAの本拠地バイルンド及びアンドゥーロを占拠し、戦況は大きく政府側に優勢な状況となった。その後、UNITAは交通機関を襲撃する等ゲリラ的活動を続けていたが、2002年2月UNITA創設以来の指導者であったサヴィンビ議長が戦闘で死亡、UNITAは大きく弱体化し、和平気運が急速に高まった。同年4月、首都ルアンダにおいて停戦合意が成立、政府及びUNITAはルサカ協定に立ち戻り、国民和解・国家再建のプロセスを進めている。
主要産業は農業及び鉱業であり、特に石油は輸出の約91%、GNIの約61.4%を占めている。インフラ・生産施設管理能力の低下、内戦による輸送施設等の破壊もあり、石油を除く全ての経済部門に影響が生じている中で、約93億ドルに上る対外債務の返済、財政赤字の削減等の課題を抱えている。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
また、内戦後の復興及び和平プロセスの実施に膨大な費用を要することも経済情勢に影を落としている。
我が国は、アンゴラから原油・魚介類等を輸入し(2001年輸入額2,272万ドル)、同国に自動車、鉄鋼等を輸出している(同輸出額3,074万ドル)。また、在京大使館が2000年11月に開設され、2001年1月にドス・サントス大統領が訪日した。
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) アンゴラに対する政府開発援助の基本的考え方
我が国は、94年11月のルサカ協定に伴い、停戦が発効したことを受け、95年6月、無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施した。また、2000年5月にも政策協議を実施し、保健・医療、基礎インフラ、農業、復興支援の4分野を重点分野として我が国援助を実施していくことで先方政府と合意した。これらの協議を踏まえ、我が国は、基礎生活分野、インフラ分野の無償資金協力や、研修員受入れ、開発調査等の技術協力を実施している。
今後とも、アンゴラの実施体制、治安状況等を注視しつつ無償資金協力や研修員受入れ等の技術協力及び国際機関を通じた支援により、同国の復興努力を積極的に支援していく方針である。
(2) 2001年度の援助実績
2001年度までの我が国の援助累計実績では、無償資金協力185.14億円(交換公文ベース)、技術協力19.29億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力35.25億円(交換公文ベース)、技術協力3.50億円(JICA経費実績ベース)を行った。
無償資金協力については、食糧援助、食糧増産援助の他、首都近郊における基礎インフラ、教育分野、水供給分野等で協力を実施した。
技術協力については、保健医療、インフラ及び農業等の分野において、研修員受入れによる協力を中心に実施した。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施開発調査案件
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