2.政府開発援助実績

(1) 我が国は、特に70年代後半から対アフリカ援助の拡充に努めており、79年には我が国二国間ODA総額の約10%を占めるに至った。その後、有償資金協力及び無償資金協力双方を通じた構造調整支援の大幅増により、89年には二国間ODA総額の15.3%に相当する10億3,964万ドルに達したが、多くの国における累積債務問題の深刻化に伴う有償資金協力の減少、一部地域での情勢の不安定化に伴う援助停止、アジア経済危機に伴う対アジア地域援助の増加等のため、90年以降二国間ODA総額に占める割合は概ね10%前後で推移し、2001年には約8億5,133万ドルで11.4%となった。
 アフリカ諸国との関係においては、人道的観点からの援助ニーズは依然として広く存在しており、我が国は全てのアフリカ諸国に対し緊急援助を含む援助実績を有している。
 2001年10月に成立したNEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)はアフリカ自身のオーナーシップに基づく開発計画であり、我が国はTICADプロセスを通じてNEPADを支援することを対アフリカ支援政策の根幹としている。
 同時に、我が国は国際機関のノウハウ、ネットワークの活用という観点から、アフリカ開発銀行(AfDB)及びアフリカ開発基金(AfDF)等の取り組みを支援しており、我が国のこれらに対する出資及び拠出は、域外加盟国中それぞれ第2位及び第1位である。また、「アフリカのための特別支援プログラム」(Special Program of Assistance for Africa,(SPA 注:SPA V(2000 2002年)以降、「アフリカとの戦略的パートナーシップ(Strategic Partnership with Africa)」と改名))においても国際機関との協調を図りつつアフリカ支援を行っている。
(2) 我が国の対アフリカ二国間ODAの特徴は無償資金協力の比重が高いことであり、2001年支出純額では、その72.2%が無償資金協力である(参考:我が国二国間ODA全体に占める無償資金協力のシェアは25.6%)。一方、我が国二国間ODA全体の約35%を占める有償資金協力について、対アフリカ援助のシェアは0.52%に留まっている。これは、近年の累積債務問題の中でアフリカにおいて債務負担能力の問題から円借款を供与し得る国が減少したこと、国連貿易開発会議(UNCTAD)の貿易開発理事会(TDB)決議を受けた対LDC援助の原則無償化という基本的方針に基づき多くのアフリカ諸国を含むLDCに対し、積極的に無償資金協力で対応してきたことなどによるものである。
 2001年度の対アフリカ無償資金協力実績(二国間及び国際機関経由)は、交換公文ベースで総額約592.53億円(アフリカ難民向け援助を含む)と、2000年度の約672.77億円(同)に比べて減額している。
 対アフリカ無償資金協力の特徴としては、食糧援助を含む基礎生活分野への援助の比重が大きいことが挙げられる。また、これまで基本的に円借款で対応してきた道路等の基礎インフラ整備についても、LDCを中心とする開発途上国の財政事情等を考慮し、状況に応じて無償資金協力により協力を行っている。
 草の根無償資金協力は、開発途上国の地方政府、途上国において活動している内外NGO等からの比較的小規模なプロジェクト資金要請に対し、迅速かつ的確に対応する支援スキームである。2001年度は37カ国のアフリカ諸国に対し、335件で合計15.72億円の援助を実施し、金額ベースでの全プロジェクトに占めるアフリカ諸国の割合は約15.7%と比較的大きい。
 また、98年度より、経済構造改善努力支援無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)の見返り資金(注:供与された円貨資金により輸入された物資の売却・貸付や被援助国政府の財政措置により積み立てられる現地通貨)を、開発途上国が策定している環境保全や社会開発分野における開発プログラムの実施に活用する環境・社会開発セクター・プログラム無償資金協力を開始しているが、アフリカ諸国へのノン・プロジェクト無償資金協力として、2001年度は5カ国に対し合計48億円を供与している。
 技術協力については、2001年度は45カ国に協力実績があり、保健・医療、農業等の分野での研修員受入、保健・医療、人造り等の分野での専門家派遣、人造り、工業等の分野での青年海外協力隊派遣、農業、水供給等の分野での開発調査等を実施している。特に、青年海外協力隊派遣におけるアフリカの比重は、アジア・中南米と並んで高く、2001年度までの累計人数の30.8%を占めている。
 有償資金協力については、債務返済能力に問題のある国が多いことから供与対象国は少ない。なお、2001年度は4カ国に対し合計223.56億円の債務救済を実施した。
(3) 難民・災害援助
 アフリカにおける難民問題については、人道的考慮から、また地域の平和と安定の維持の観点からもその解決に努める必要があり、我が国は各国の難民・国内被災民向け援助(各国実績参照)のほか、世界食糧計画(WFP)を経由した食糧援助、国連人権高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)等への資金拠出等を積極的に行っている。

表―2 アフリカ地域に対する我が国二国間ODA実績
図―2 アフリカ地域及び全世界に対する我が国二国間ODAの形態別構成(2001年、支出純額)
表―3 アフリカ地域に対する我が国無償資金協力の分野別実績
 (1) 全体内訳
 (2) 一般プロジェクト無償内訳
表―4 アフリカ地域に対する我が国技術協力の年度別・形態別実績
表―5 アフリカ地域に対するDAC諸国のODA実績
表―6 アフリカ地域に対するDAC主要援助国の二国間ODAの推移
表―7 アフリカ地域に対するDAC主要援助国の国別二国間のODA実績(2000年)
表―8 アフリカ地域に対する国際機関のODA実績
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