1.政治・経済・社会情勢
- 民主主義が着実に根付き、97年の経済危機後99年に入り経済回復の動きが見られる。また、社会的弱者への影響に配慮の必要がある。
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一人当たりGNP(98年)と
GDP成長率(90-98年平均)
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実質GDP成長率
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2,160ドル、5.7%
(世銀資料)
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93年 8.4%、94年 9.0%、95年 8.9%、96年 5.9%、
97年▲1.8%、98年▲10.4%、99年 4.2%(IMF資料)
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2.開発上の課題
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タイ政府の第8次開発計画においては、「人間中心の開発」を基本理念として国民生活の質の向上に重点を置いていたが、97年の経済危機に伴い、基本理念は維持したまま、マクロ経済の安定化、産業構造改革、国民生活への影響緩和、行政改革に重点をおき、経済危機克服を最重要課題としている。主要課題は、
農業振興・農業開発、 産業構造改革、 経済社会インフラ整備、 環境への配慮
3.我が国の対タイ援助政策
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(1) 対タイ援助の意義
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伝統的な友好国かつ各分野における緊密な協力関係を有しており、特に貿易・投資等の面で密接な相互依存関係を有している。また、政治・経済的変動の激しい東南アジアにおける安定勢力として域内における政治的イニシアティヴをとりASEANの中核的役割を担っており、我が国の対東南アジア外交上のパートナーでもある。
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(2) ODA大綱原則との関係
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総じて望ましい方向となっている。
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(3) 我が国援助の目指すべき方向
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(イ) 自立的な発展を支援:タイが再び安定的な発展の軌道に復帰するとの前提の上で、タイの自立的な発展を支援するとの観点に留意する(プロジェクトの共同発掘・形成、民間資金・その他公的資金との連携等)。
(ロ) アジア経済危機からの中・長期的な回復のための支援:タイ経済の持続的な成長を可能にするための支援の検討を行う(金融分野等の人材育成。雇用創出、社会的弱者救済など)。
(ハ) 中長期的には、5つの重点分野を今後も重視: 社会セクター、 環境保全、 地方・農村開発、 経済基盤整備、 地域協力支援。
(ニ) 人材育成の強化:人材育成は上述の各分野共通に重要である。
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(4) 重点分野・課題別援助方針
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(イ) 社会セクター支援(教育、エイズ対策を中心として;a社会的弱者支援、b保健・衛生面への支援、c教育分野(特に高等教育)への支援、d薬物対策支援)
(ロ) 環境保全
(ハ) 地方・農村開発
(ニ) 経済基盤整備(a経済インフラ整備への支援、b経済・産業の高度化への支援、c中小企業支援)
(ホ)地域協力支援
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(5) 援助実施上の留意点
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プロジェクトを実施する際の経費負担等につき、タイ側の努力を求めていく。 具体的な要請案件の審査や実施後のモニタリング能力(タイ側)を一層向上する。 タイ側関係機関の連携を強化しODAの効果的・効率的な実施体制の強化を期待する。
4.援助実績
- (1) 我が国の実績(支出純額、単位:百万ドル)
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有償 |
無償 |
技協 |
合計 |
供与先順位 |
99年(暦年) |
754 |
2 |
124 |
880 |
3位 |
99年(暦年)までの累計 |
5,708 |
899 |
1,851 |
8,458 |
4位 |
- (2) DAC諸国からの実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
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二国間総額 |
1位 |
2位 |
3位 |
676 |
日本 558 |
ドイツ 45 |
オーストラリア 13 |
- (3) 国際機関のODA実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
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国際機関総額 |
1位 |
2位 |
3位 |
15 |
EC 14 |
UNHCR 3 |
UNTA 2 |
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