1.政治・経済・社会情勢
- 90年代初めから安定した民主政治を実現している。経済構造改革は一定の成果を挙げたものの、その後のアジア経済危機の影響を受け、財政収支の悪化等を招いた。また反政府勢力の存在が国民和解や治安の阻害要因となっている。
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一人当たりGNP(98年)と
GDP成長率(90-98年平均)
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実質GDP成長率
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1,050ドル、3.3%
(世銀資料)
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93年 2.1%、94年 4.4%、95年 4.7%、96年 5.8%、
97年 5.2%、98年▲0.5%、99年 3.2%(IMF資料)
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2.開発上の課題
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持続的な経済成長の確保と社会的弱者対策を含む貧困緩和が最重要課題であり、特に地方部における貧困の削減を目指す。開発上の主要課題は、
持続的な成長の確保、 貧困緩和(地域間格差の是正を含む)、 環境保全、 人的資源開発、 ガバナンスの改善である。
なお、99年9月には、国家経済開発庁(NEDA)を中心に、「社会的公平を伴った持続可能な発展及び成長」を目標とする新中期開発計画(99~2004年)がまとめられ公表された。
3.我が国の対フィリピン援助政策
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(1) 対フィリピン援助の意義
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要人往来も極めて活発に行われ、極めて緊密、良好な関係である。特に、フィリピンにとって我が国は最大の貿易相手国の一つであり、主要投資国でもある。また、ASEAN域内有力国でもあるフィリピンの安定は、我が国の安定にも極めて重要であり、多くの貧困層の存在や頻発する自然災害による援助需要は依然大きく、引き続き援助を実施していく必要がある。
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(2) ODA大綱原則との関係
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民主主義が最も定着している国の一つであり、総じて望ましい方向にある。
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(3) 我が国援助の目指すべき方向
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(イ) これまで我が国は、フィリピンの民主化と経済再建の努力を支援する立場から、同国に対する援助を拡充してきた。
(ロ) 今後は、我が国の財政事情、フィリピンの事業実施能力、債務負担能力を考慮していく必要がある。
(ハ) 資金の有効活用の点から、円借款、無償資金協力、技術協力の連携の一層の促進に留意していく。また民間資金、ODA以外の公的資金との役割分担や連携にも考慮する。
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(4) 重点分野・課題別援助方針
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(イ) 「持続的成長のための経済体質の強化及び成長制約要因の克服(a適正なマクロ経済運営、b産業構造の強化(特に裾野産業育成への支援)、c経済インフラ整備」
(ロ) 「格差の是正(貧困緩和と地域格差の是正;a農業・農村開発、b基礎的生活条件
の改善)」
(ハ) 「環境保全と防災(a環境、b防災(災害常襲地帯を中心とした防災対策)」
(ニ) 「人材育成及び制度作り」
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(5) 援助実施上の留意点
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法令・制度等の執行の確保、 NGOとの連携、 地域格差是正への配慮、 地域住民・環境への配慮、 事業実施能力、債務負担能力
4.援助実績
- (1) 我が国の実績(支出純額、単位:百万ドル)
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有償 |
無償 |
技協 |
合計 |
供与先順位 |
99年(暦年) |
239 |
82 |
92 |
413 |
6位 |
99年(暦年)までの累計 |
5,755 |
1,792 |
1,292 |
8,839 |
3位 |
- (2) DAC諸国からの実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
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二国間総額 |
1位 |
2位 |
3位 |
528 |
日本 298 |
ドイツ 45 |
オーストラリア 45 |
- (3) 国際機関のODA実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
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国際機関総額 |
1位 |
2位 |
3位 |
80 |
EC 36 |
ADB 21 |
IDA 7 |
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