ヴィエトナム
国別援助計画の概要
1.政治・経済・社会情勢
 86年末のドイモイ(刷新)政策の採用後、市場システムの導入と対外開放政策を推進。経済構造改革の推進、貧困緩和、地域間格差の拡大や環境悪化等への対応が課題である。
一人当たりGNP(98年)と
GDP成長率(90-98年平均)
実質GDP成長率
350ドル、8.4%
(世銀資料)
93年 8.1%、94年 8.8%、95年 9.5%、96年 9.3%、
97年 8.2%、98年 3.5%(IMF資料)

2.開発上の課題
 「第6次5か年計画(1996~2000年)」では、5年間で一人当たりGDPを1990年の2倍に引き上げることを目標とし、また「経済システムの改革」及び「生産力の再構築」の2つの側面 より競争市場原理に基づいた経済効率の向上を追及している。開発上の主要課題は、01市場経済に適合した法制度整備・運用、人材育成、02経済基盤インフラの整備、03国営企業改革と民間セクターの育成、04金融セクター改革を通じた国内資本の蓄積と有効活用の促進、05農業セクターの開発・強化、06貧困削減・地域間格差の是正、の6点である。

3.我が国の対ヴィエトナム援助政策
 
(1) 対ヴィエトナム援助の意義
 ヴィエトナムの政治的安定と経済発展は東南アジア地域全体の安定と発展にとって重要である。また、我が国との関係も着実に進展しており、我が国としてはヴィエトナムの市場経済化・対外開放の努力を支援していくことが重要である。
(2) ODA大綱原則との関係
 総じて望ましい方向となっている。
(3) 我が国援助の目指すべき方向
 依然不足する大型インフラ整備への支援とともに、「人造り・制度造り」、「農業・農村開発(貧困対策)」及び「環境」分野等への支援も重要である。またハード面の他ソフト面の充実にも配慮したバランスの取れた援助を実施していく。又、資金協力にあたっては、ヴィエトナム側の事業実施能力、債務負担能力等を考慮し、更なる質の向上に留意する必要がある。
(4) 重点分野・課題別援助方針
(イ) 人造り・制度造り(特に市場経済化移行支援)
(ロ) 電力・運輸等のインフラ整備
(ハ) 農業・農村開発
(ニ) 教育、保健・医療
(ホ) 環境
(5) 援助実施上の留意点
 01実施体制の強化、02ヴィエトナム政府部内での複雑な承認手続きの簡素化、03ヴィエトナム側関係省庁・機関の調整の強化、04ヴィエトナムの開発戦略策定・実施等に協力するためのパートナーシップへの積極的参加、05インドシナ地域全体に裨益するプロジェクトの推進に留意することが必要である。

4.援助実績(ヴィエトナム)
(1) 我が国の実績(支出純額、単位:百万ドル)

有償 無償 技協 合計 供与先順位
99年(暦年) 533 85 62 680 4位
99年(暦年)までの累計 1,317 555 340 2,212 11位
(2) DAC諸国からの実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
二国間総額 1位 2位 3位
713 日本 389 フランス 66 ドイツ 55
(3) 国際機関のODA実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
国際機関総額 1位 2位 3位
452 IDA 253 ADB 128 EC 22

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