[13]マーシャル

1.概  説

(1) マーシャルは、1947年以来、ミクロネシア、パラオ、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国連の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していたが、86年に米国との自由連合国家に移行した。米国との自由連合の下で、防衛、安全保障については米国が権限と責任を有するが、外交は独自に行っており、諸外国との外交関係拡大に努力している。91年には国連に加盟した。
(2) 大首長という伝統的権威をも有するアマタ・カブア大統領の下で17年間内政は安定していたが、96年12月同大統領が逝去し、97年1月その従兄弟に当たるイマタ・カブア氏が、接戦の末に後継大統領に選出された。2000年1月ノートが、第3代大統領になった。新大統領も、民間セクターの開発促進やインフラ整備、外国資本導入等の路線を踏襲している。なお、国内のクワジェリン環礁には、米軍基地が存在している。
(3) 経済面では、伝統的自給経済と貨幣経済が混在しており、農業(コプラ)と漁業を除き見るべき産業は存在していないため、自由連合盟約下での米国からの資金援助及び基地関連収入に依存している。同援助が継続する自由連合盟約期間(86年から15年間)の間に経済的自立を達成することを最大の目標に置いているが、国家予算の半分以上を依然米国の援助に頼っているのが現状である。
(4) 我が国との関係では、古くは1914年以来1945年まで我が国が南洋群島の一部として統治していた経緯があり、この歴史的関係に加え、漁業関係でのつながりも深く、国造り、経済開発における我が国経済協力への期待は大きい。88年、我が国と同国との外交関係を開設された。また、96年6月及び98年8月には、長谷川前駐豪大使を代表とする政策対話ミッションを同国に派遣し二国間関係の強化に努めた。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は、マーシャルと従来より友好的な関係にあること、我が国水産業界と密接な関係にあること、米国との自由連合盟約関係終了を2001年に控え、経済的自立の達成に向けて我が国援助への期待感が高いこと等を踏まえ、水産、運輸、教育分野での無償資金協力を実施し、また、幅広い分野での研修員受入れを中心として、青年海外協力隊の派遣等の技術協力を行っている。97年度から実施した無償資金協力「マジュロ環礁道路整備計画」においては、首都マジュロの主要道路のアスファルト舗装の部分改修及び排水溝や歩道の建設を行った。89年に青年海外協力隊派遣取極が締結され、91年度より派遣を開始した。97年12月に同国を襲った台風の被害に関連して災害緊急無償を実施した。
 マーシャルはADBの助言に基づき構造調整を行っていることから、我が国としてもADB等国際機関や主要援助国と調整を図りつつ支援を行うことが効果的である。98年11月には、ADB主催の支援国会合を東京で開催している。
 95年1月には、政策協議調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を行うとともに、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考)99年度実施草の根無償資金協力案件
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