[11]パラオ

1.概  説

(1) パラオは、1947年以来、マーシャル、ミクロネシア、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国連の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していた。94年の米国との自由連合盟約の発効に伴い、独立し、同年に国連に加盟した。96年11月の大統領選挙で、ナカムラ大統領が圧勝し再選を果たした。
(2) 経済面では、パラオの財政は米国からの援助にかなり依存しており、産業面でも製造業に見るべきものがなく、ほとんどを輸入に頼っている。このような経済構造からの転換を図るため、自給率を高める生産部門の確立が必要とされている。また、近年同国の自然環境を求めて、観光客数が増加しているため、関連施設やインフラの整備が最優先課題となっている。マグロ等鮮魚の日本向け転載事業が一時期大きく伸びたが、近年は低迷している。経済は、観光産業が近隣諸国と比べ徐々にではあるが確実に進展していること等から、全体として緩やかではあるが成長過程にある。
 雇用面では、政府機関の占める割合が大きく、民間労働力は外国人(フィリピン人)への依存が高くなっており、地元民雇用の拡大策が検討されている。95年には経済自立、人材育成、天然資源開発、持続的地域開発を国家目標とする経済開発計画(~99年)が策定された。
(3) 我が国との関係では、古くは1914年以来1945年まで我が国が南洋諸島の一部として統治していた経緯があり、この歴史的関係に加え、漁業関係でのつながりも深く、国造り、経済開発における我が国経済協力への期待は大きい。94年の独立以降、ナカムラ大統領は頻繁に訪日している。96年6月及び98年8月には、長谷川前駐豪大使を代表とする政策ミッションをパラオに派遣し、99年10月には、SPF域外国対話に出席するため、東総括政務次官がパラオを訪問した。また、99年12月にはSPF議長としてナカムラ大統領が訪日、2000年4月の太平洋・島サミットに同大統領がSPF議長として再び訪日した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 パラオに対しては、我が国と伝統的に緊密な関係にあること、極めて親日的な国であること等を踏まえ、無償資金協力及び技術協力を実施している。
 無償資金協力については、81年度以降、水産、電化や給水案件に対して協力を実施してきている。日米コモン・アジェンダの枠組において、我が国はパラオに国際サンゴ礁センター(当時)を設立する旨表明し、98年度より実施している「パラオ国際珊瑚礁センター建設計画」は日米政府間のみならず、日米官民協調のモデルケースとしての性格を有している。また、96、97年度の「電力供給改善計画」により、首都圏の安定的電力供給と未電化地区への電力供給のため、発電所の改善及び送配電網の整備を行った。技術協力では、個別専門家派遣、研修員受入れを中心として行っている。96年8月には青年海外協力隊派遣取極が締結された。また、今後、上述の国際珊瑚礁センターについて技術協力を実施する予定である。
 96年9月、首都コロールとパラオ本島を結ぶ唯一の橋梁であるコロール・バベルダオブ橋が崩落し、吸水管と送電線が切断され、コロール地域が断水と停電に見舞われた。我が国は簡易水槽、ポリ容器、発電機等を供与する緊急援助を行うとともに、この橋梁の再建のため、98年度から4カ年にわたり「新コロール・バベルダオブ橋建設計画」を実施している。
 また、ナカムラ現大統領の父親の出身地である三重県と同国の友好交流関係が結ばれ、三重県ではパラオからの水産分野の研修員受入を実施している等、国民参加レベルでの交流も行われている。
 なお、95年1月には、政策協議調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を通じて、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を実施している。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)99年度実施開発調査案件
(参考2)99年度実施草の根無償資金協力案件
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