[7]トンガ

1.概  説

(1) トンガは、1900年に英国の保護領となったが、70年にこの関係を解消し、現在は、国王トゥポウ四世を元首とする立憲君主国家となっている。
 王権の下、三権分立の体制をとっている。国王のカリスマ性は依然根強く、政権は比較的安定している。
(2) 外交面では、英連邦加盟国として英連邦諸国、特に旧宗主国である英国との緊密な関係の保持、南太平洋の域内協力の推進、国連専門機関等の諸機関へのオブザーバーとしての積極的参加等をその基調としている。アジアとの交流も盛んであるが、我が国以外では韓国等と良好な関係を保ち、特に王室のある国に親近感を有している。トンガはこれまで台湾と国交を有してきたが、98年11月にこれを断絶し、中国と国交を結んでいる。また、99年9月、国連に加盟。
(3) 経済面では、伝統的な食糧作物生産及びカボチャ、バナナ、コプラ(乾燥したやしの実)、ココナツ、バニラ、インゲン豆等主要輸出作物生産を中心とする第一次産業依存型である。トンガ経済はカボチャ輸出に頼るところが大きいが、近年はカボチャの生産高及び輸出額は不作や他国との競争等により減少傾向にある。単一生産物(カボチャ)への過度の依存を回避し、新たな輸出産品を開発することが緊急の課題となっている。最近では、水産資源として海草(もずく)、農産品ではスイカ等が新たな輸出産品として検討されている。観光分野では、トンガ国営航空と海外航空会社との共同運行や新航空路開設・飛行場の整備等に力を入れているほか、ホエール・ウォッチング等を活用し振興に努めている。さらに、2000年を最初に迎える国のひとつとして、キリバスやフィジーと並んで活発なプロモーションを行った。また、政府は歳出抑制のために政府組織及び公共部門の合理化を進めるとともに、世界貿易機構(WTO)の加盟に向けて準備中である。
(4) 我が国との関係は、国王が度々来訪し、非常に親日的であること等極めて良好な関係を保っている。トンガ産カボチャの対日輸出は生産高及び価格の変動に左右される面はあるものの、トンガ経済に大きく貢献しており、経済関係も徐々に進展しつつある。
 96年には、わが国の大学で経済博士号を取得した親日家のマサソ・パウンガが労働・商工・観光大臣に任命され、我が国との経済交流を図るべく、頻繁に訪日している。また、97年10月に東京で開催された日・SPF首脳会議にはヴァエア首相が参加している。更に、98年7月、我が国は両国間の対話を促進するため、堀元駐フィジー大使を団長とする政策対話ミッションをトンガに派遣した。2000年4月には、太平洋・島サミットに参加するため、ウルカララ首相が訪日した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は同国にとり主要援助国の一つであり、我が国の経済協力に対し強い期待が示されている。過去、国王が度々訪日するなど、極めて親日的であり、両国関係も良好である。以上の観点から、我が国は同国の人口規模と開発ニーズを勘案しつつ、無償資金協力、技術協力を実施している。
 無償資金協力については、トンガの所得水準が比較的高く、原則として一般無償資金協力の実施は困難であるが、極めて良好な二国間関係に鑑み、環境分野等に関しては柔軟に対応することとしている。99年度から、「ヌクアロファ上水道整備計画」を実施し、老朽化した配水管の整備を行っている。
 また、技術協力では、独立後の72年に青年海外協力隊派遣取極を締結し協力隊の派遣を開始したほか、若年層が人口のかなりの部分を占めていることから、研修員受入れ、専門家派遣、青年海外協力隊派遣などにより、教育・訓練等人造り分野や、近年主要産業となりつつある水産分野における協力を実施している。
 なお、99年3月には、プロジェクト確認調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を行うとともに、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)99年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)99年度実施草の根無償資金協力案件
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