[5]ソロモン

1.概  説

(1) 1978年に英国より独立した英女王を元首とする立憲君主国家である。97年8月の総選挙の結果、ママロニ首相に代わって、ウルファアル議員が新首相に就任した。98年末よりガダルカナル島において原住民ガダルカナル人とマライタ人による部族対立において緊張が高まり、2000年6月、ウルファウル首相が反政府武装勢力によって拘束されるという事件が発生した。その後、ウルファウル首相は辞任し、7月1日には、野党党首ソガワレが新首相に就任した。
(2) 外交面では、歴史的に英国、豪州等英連邦諸国と緊密な関係を有しているが、かつて最大の援助国であった旧宗主国たる英国の援助が近年減少しているため、援助供与国の多角化を進めている。また国連、ESCAP、世界銀行、IMF、ADB等にも加盟し援助拡充を図っているほか、周辺国との連携を強め、協力関係を推進している。近年は南太平洋フォーラム(SPF)の枠組みを重視し、また、経済的つながりの強化のためアジア指向を強めている。
(3) 経済面では、木材、魚、コプラ(乾燥したやしの実)等の一次産品輸出に大きく依存しているため、常に一次産品の国際価格下落の影響を受けている。99年は、アジア経済危機などの影響が続き、GDP成長率は-0.5%となった。また、依然として地方農村部においては自給自足経済が営まれており、都市部と地方との生活水準には大きな格差があるほか、急激な人口増加への対応が重要な課題となっている。
(4) 我が国との関係は、古くは第二次大戦時の占領に始まるが、極めて親日的であることに加え、漁業分野における関係も深い。95年11月にはフィリップ副首相兼外相、97年10月にはウルファアル首相(日・SPF首脳会議に出席)、99年10月及び2000年4月(太平洋・島サミット)にはオティ外相が訪日する等、近年両国関係は緊密化しつつある。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 ソロモンは従来より親日的であり、同国200海里経済水域は我が国の漁業にとり重要な漁場である。また、英・豪等伝統的援助供与国がその規模を削減する中、雇用や経済活性化の面からも我が国の経済協力に対する期待が高まっている。以上の観点から、水産分野や運輸インフラ整備を中心とする無償資金協力を実施するとともに、研修員受入れ、青年海外協力隊派遣、開発調査等を中心とする技術協力を行ってきた。
 無償資金協力については、「ヘンダーソン国際空港整備計画」に対して、増加する航空需要に対応するため、老朽化している国際線ターミナルビル、駐機場及び誘導路等の整備を96年度から2カ年にわたり実施した。また、98年度には、「ルンガ地区電力開発計画」を実施し、電力の安定供給のための施設の整備を行った。
 また、99年11月には、プロジェクト確認調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を通じて、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)99年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)99年度実施開発調査案件
(参考3)99年度実施草の根無償資金協力案件
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