[4]サモア

1.概  説

(1) ニュー・ジーランドを施政国とする国連信託統治領を経て、62年、南太平洋島嶼国の中で初の独立国となった。現在マリエトア・タヌマフィリ二世を元首とする立憲君主国家である。97年7月、国名を西サモアからサモアへ変更した。
 96年4月の総選挙では、88年以来与党の人権擁護党が94年の付加価値税の導入や閣僚等の汚職疑惑の影響により大敗したが、無所属議員を取り込み、第3次トフィラウ政権が発足した。98年11月、トフィラウ首相が健康不安のため辞任したため、トゥイラエパ副首相が首相に就任した。
(2) 外交面では、南太平洋諸国の一員として平和的・友好的にその国益を追求することに主眼が置かれており、SPF(南太平洋フォーラム)、PC(太平洋共同体)等地域協力機関を通じて積極的な役割を演じているほか、ニュー・ジーランド及び豪州との緊密な関係を維持し、かつ先進諸国、中国等とも外交関係を持ち、国連、世銀、IMF、ADB等にも加盟している。
(3) 経済面では、主要輸出品目であるコプラ(乾燥したやしの実)、ココア等を生産する伝統的農業(労働人口の約半数が従事)に大きく依存しており、これら産品の国際価格の低迷と、輸入産品価格の高騰という構造的問題を抱えている。こうした問題を解消し、社会経済開発を進めるためのサモアの援助ニーズは極めて高く、ニュー・ジーランド、豪州、我が国等による無償資金協力等の援助及び国際機関からの借入に大きく依存している。99年は、マグロ漁業の急速な成長、民間セクター育成強化の政策に支えられ比較的順調に推移した。
(4) 我が国との関係では、経済協力、人的交流や民間企業によるホテルの買収、自動車部品工場の進出等を中心として関係の緊密化が図られつつある。
 96年6月には、長谷川前駐豪大使を団長とする政策対話ミッションを、また98年7月には堀元駐フィジー大使を団長とする政策対話ミッションを派遣し、二国間関係の強化に努めた。2000年4月に行われた太平洋・島サミットにはトゥイラエパ首相が参加した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 サモアは親日的であり、我が国との関係の緊密化が図られていること、LLDCとして援助ニーズも高く、我が国援助に対する期待は大きいこと等から、これまで無償資金協力、技術協力を中心に協力を実施している。
 無償資金協力については、これまで運輸及び地方電化等のインフラ整備や教育分野で協力を実施している。97年度に実施した「島嶼間輸送貨客船建造計画」により、人の交流及び輸出入において不可欠な米国領サモアとの航路を確保するため、島嶼間輸送を行う貨客船を供与した。また、98年度には「南太平洋大学通信体系改善計画」の一環として、サモア国内のミニハブ局の建設に対する無償資金協力を実施した。
 技術協力については、青年海外協力隊派遣、研修員受入れを中心に実施している。71年に青年海外協力隊派遣取極が締結されて以来、同国に対する協力隊派遣数は着実な伸びを続けており、99年度までの協力隊派遣累計実績は330名となっているほか、シニア海外ボランティアの派遣も行っている。開発調査については、港湾の分野で協力を実施している。
 また、98年3月には、プロジェクト確認調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を通じて、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。
 我が国は、島嶼国の人材育成を目的とする「南太平洋大学通信体系改善計画」のように、地域全般に裨益する案件にも力を入れている。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考)99年度実施草の根無償資金協力案件
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