[3]クック諸島

1.概  説

(1) クック諸島は、英国の属領、ニュー・ジーランドの属領時代を経て、1965年憲法施行によって立法権を確立し、ニュー・ジーランドとの自由連合関係に入り、現在内政自治権及び一定限度の外交権を有している。99年の総選挙では、民主連合党(DAP)が勝利し、マオアテ内閣が誕生した。
(2) 対外関係では、ニュー・ジーランドとの自由連合関係維持をその基本姿勢とし、国際法上ニュー・ジーランド政府が外交・国防の任を負ってはいるものの、実際上はクック諸島政府の決定に対するニュー・ジーランド政府の影響力は限定されている。また、国際機関等への参加についても意欲的な姿勢を見せており、太平洋島嶼国との協力関係も推進している。
(3) 経済面では、クック諸島は、国内市場(人口約1.9万人)が小規模なため、観光業を除いて主だった産業が成長しておらず、現在観光業とそれに関連するサービス産業がGDPの約80%を占めている。公共サービスの急激な拡大により、莫大な対外債務を招き、成長率がマイナスにまで低下したため、96年、ヘンリー政権は、厳しい行政・構造改革プログラムを策定し、97年度には大幅な歳出予算削減や公務員の半数以上の削減などを行い、12.5%の付加価値税を導入した。この結果、民間の雇用吸収能力不足により労働力の国外流出を招いたものの、政府事業の民営化等により経済活性化が図られつつある。貿易相手国としては、輸出入とも約80%を占めるニュー・ジーランドが中心である。また、ニュー・ジーランドはクック諸島の最大の支援国であり、80年代までその援助額はクック諸島のGDPの30%にも相当していたが、現在はクック諸島の自主独立を促すため段階的に援助額を減らしている。
(4) 我が国との関係では、我が国真珠業者と協力して黒真珠の養殖が盛んに行われている。98年7月には堀元駐フィジー大使を団長とする政策対話ミッションを派遣し、友好関係の強化に努めた。2000年4月(太平洋・島サミット)にはマオアテ首相が訪日した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は、クック諸島の所得水準が高いこと等により、これまで、技術協力を中心に援助を実施してきており、85年度のクック諸島周辺海域における開発調査「南太平洋海底資源調査(86年度、90年度も実施)」とこれに関連した研修員受入れの実施から協力を開始した。98年度からは、医療分野の専門家の派遣を行っている。
 無償資金協力としては、災害緊急援助と文化無償(放送機材供与)の実績がある。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
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