[2]キリバス

1.概  説

(1) 1979年に英国より独立した。日付変更線及び赤道の両側に広がる広大な水域に散在する島嶼国で、域内で国際市場からの地理的隔絶及び国土の拡散性が最も顕著であり、社会経済開発には多くの困難を伴っている。98年9月に総選挙が行われ、与党キリバス共同体党が勝利し、11月にはシト大統領が再選された。基本政策としては、近隣諸国との経済関係強化や離島振興を実施している。
(2) 外交面では、豪州、ニュー・ジーランドを含む南太平洋諸国との友好協力関係の維持・強化を基調とし、米国、我が国、ドイツなどの先進諸国との友好関係を推進している。また、キリバスにとっては広大な200海里経済水域が唯一・最大の資源であり、環境保護の観点からその汚染には極めて敏感で、96年5月には、パルミラ環礁への核廃棄物の廃棄に反対する旨の決議が議会でされ、核に関する厳しい態度を表明した。96年9月、シト大統領が中国を公式訪問、香港にはキリバスの名誉領事を設置、また、96年10月には10万ドルの援助を受けるなど、中国との関係に進展がみられた。99年9月に国連に加盟。
(3) 経済面では、79年に燐鉱石が枯渇して以来主要な輸出産品はコプラと魚類であるが、天候等の要因により大きく影響を受けるため経済状況は安定していない。政府は旧宗主国である英国からの財政援助と、燐鉱石枯渇後に備え設立していた収入均衡準備基金等により国家財政を支えてきたが、英国からの経常予算に対する財政援助が86年に打ち切られたことから、援助源の多元化を図っている。また、キリバスは過去8次に亘って国家開発計画を策定・実施してきている。
(4) 我が国とは、キリバスが広大な200海里経済水域を有しており、我が国のかつお・まぐろ漁業にとり重要な漁場になっていること、2000年2月に宇宙開発事業団とキリバス政府の間でHOPE―X(宇宙往還技術試験機)着陸実験計画のため、キリバスのクリスマス諸島の土地利用契約が締結されたこと等関係は深い。97年10月の日・SPF首脳会議及び2000年4月の太平洋・島サミットに参加するため、さらに2001年2月、PIF議長としてシト大統領が訪日している。98年8月、我が国は両国間の対話を促進するため、長谷川前駐豪大使を団長とする政策対話ミッションをキリバスに派遣した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 キリバスは、広大な水域を有する島嶼国であることから、これまで水産分野、人造り及びインフラ整備に対する協力を中心に援助を実施してきている。
 LLDCであるキリバスは、地理的に国際市場からの隔絶性及び国土の拡散性が極めて高い。かつての主要輸出品であった燐鉱石が枯渇した現在、水産業が同国の主要産業として経済を支えている。
 こうした状況に鑑み、無償資金協力では、広大な200海里経済水域に恵まれ、また基幹産業である水産業の底上げを図るべく、水産無償を供与してきており、99年度には、「総合水産施設建設計画」を実施し、水産加工施設及び機材の整備を行っている。また、97年度から4カ年にわたる「ベシオ港整備計画」が実施されており、同国の島嶼国海上輸送の改善を目的として、岸壁、スリップウェイ及び陸上施設の整備を行っている。
 技術協力については、研修員受入を中心に実施しているが、98年3月より漁業分野の広域専門家を派遣しているほか、99年度からは輸出振興、投資促進分野の広域専門家を派遣している。
 国際機関を通じる援助としては、我が国は91年より94年までUNDPへの拠出を通じ、太陽光発電を基礎にした電力供給システムの構築に協力した。98年1月には、ADB主催の支援国会合を東京で開催した。
 また、99年10月には、プロジェクト確認調査団を派遣し、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考)99年度実施草の根無償資金協力案件
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