(1) 90年4月、ハンガリーで40年ぶりに行われた自由な国会議員選挙の結果、民主主義政権が成立し、平和裡に議会制民主主義への転換が行われた。98年、民主化後三度目の選挙で若手中心の青年民主連盟が第一党となり、35歳(当時)のオルバーン首相を首班とする保守系連立政権が成立した。オルバーン政権は、各界での世代交代を推進し、ハンガリー社会に色濃く残る社会党の影響力の一掃に努めている。
(2) 90年の民主政権成立後、市場経済への移行を本格的に開始し、民営化、市場育成を中心とする経済改革を遂行した。この過程で巨額な財政赤字と貿易赤字に直面し、95年3月、これらの不均衡を是正すべく通貨切下げ、輸入課徴金、社会福祉削減等を柱とする緊急経済安定化措置を導入した。同措置は96年以降徐々に成果を見せ、ハンガリー経済はプラス成長を維持している。
(3) ハンガリーは体制移行後一貫して「西欧への復帰」を最大の外交目標に掲げている。NATOへは99年3月に加盟が実現した。EU加盟については、97年12月の欧州理事会で第一陣として新規加盟対象国とされ、98年3月に加盟交渉が開始されている。また、近隣諸国に居住するハンガリー系少数民族の擁護のため近隣諸国との友好関係の促進に力を入れている。
(4) 90年1月、海部総理大臣(当時)がハンガリーを訪問、また、94年11月には高円宮・同妃両殿下、95年4月には河野副総理兼外務大臣(当時)が同国を訪問し、また、ハンガリーからは、首相、外相、国会議長等が相次いで訪日している他、2000年4月にはゲンツ大統領が国賓として来日するなど、両国関係は緊密化している。また、有望な投資先として我が国財界の関心が強く、中・東欧諸国で最大の投資先、貿易相手となっている。