[5]サイプラス

1.概  説

(1) 8割のギリシャ系住民と2割のトルコ系住民から成り、1960年に英国から独立した。74年にサイプラス内部の混乱をきっかけとしてトルコ軍が侵攻して以来、南部の政府支配地域(ギリシャ系)と北部のトルコ軍占領地域(トルコ系)に事実上分離され緊張関係にあり、サイプラス共和国政府及び議会はギリシャ系のみで構成されている。99年末から、国連の仲介により、ギリシャ・トルコ両系代表間の間接交渉が断続的に行われている(なお、北部のトルコ系住民は83年「北サイプラス・トルコ共和国」の独立宣言を行ったが、現在まで同国を承認しているのはトルコのみ)。
 外交面では、ギリシャと共同歩調をとりつつ、サイプラス問題の早期解決(具体的には国連、米国、英国、EUによる仲介の受入れ、ギリシャとの共同防衛計画の推進)とEUの早期加盟に積極的な姿勢を示している。98年3月からEU加盟交渉が開始され、現在、加盟候補国の中で最も交渉の進んでいる国となっている。
(2) 経済面では、欧州と中東を結ぶ観光や通商の拠点の一つとなっており、貿易収支の赤字を観光、運輸、その他のサービス産業を含む貿易外収支によって補う構造となっている。97年の実質GDP成長率は2.5%、98年のそれは5.0%と国内経済は拡大基調である。また、98年の失業率3.3%、インフレ率2.2%とEU諸国と比べても安定している。一方、北部のトルコ占領地域ではトルコの援助以外に外貨獲得の道がないこともあり、経済の発展は立ち遅れている。なおサイプラスは97年1月よりDACリストのパート01(ODA受取り開発途上国・地域)からパート02(移行経済国及びより進んだ開発途上国・地域)に移行している。
(3) 我が国との関係では、89年及び90年にヴァシリウ大統領が訪日している。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は、サイプラスが工業製品輸出中心の産業構造に移行しつつあり、比較的国内産業の工業化が進んでいること及び所得水準がかなり高いこと等から、これまで技術協力を行ってきたところではあるが、97年1月にDACリストのパート01からパート02に移行したことに伴い、99年度をもって終了した。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
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