2.政府開発援助実績

(1) 中・東欧諸国に対する我が国の援助は、上述の状況を踏まえ、市場経済化への支援、環境分野での協力を中心に実施している。環境分野については94年2月の日米首脳会談において日米包括経済協議の一環として「中・東欧地域の環境改善のための日米共同計画」に合意し、我が国として10億ドルを限度とする資金協力を行う旨表明している。95年度にはノンプロ無償を、96年度には技術協力をボスニア・ヘルツェゴヴィナへ初めて実施するなど、我が国の援助が本格化し、また、バルト3国及びクロアチアに対する技術協力が開始されている。97年度は、ウクライナ及びモルドヴァに対して技術協力を新たに開始している。有償資金協力については、当初環境関連案件を対象としていたが、96年度より体制移行支援の観点から通常の円借款対象分野へも供与を検討することになったのに伴い、96年度にアルバニア、97年度にルーマニア及びブルガリア、98年度にはスロヴァキア及びボスニア・ヘルツェゴヴィナに対し、経済インフラ整備のための円借款が供与されている。
(2) 我が国は中・東欧諸国の政治、経済改革支援を目的とするEBRDの設立時からの加盟国であり、設立に際して総額約10億ドル、第1次増資において約10億ドルの出資を表明したほか、EBRDの行う技術協力等を支援するため、91年から99年までの累計で76百万ユーロをコミットしている。
(3) 旧ユーゴースラヴィアにおける紛争により生じた難民・避難民の救済問題は単に欧州地域の問題ではなく、世界の平和と安定に影響を及ぼす政治的・人道的問題であるとの認識の下、我が国は紛争発生当時より、UNHCR等国際機関を通じ、人道・難民支援、周辺国支援を実施してきた。95年10月のデイトン合意以降、95年~98年に4回のボスニア支援国会合が開催されており、我が国は96~99年の4年間で合計5億ドル程度の支援を行うことを表明した(詳細はボスニア・ヘルツェゴヴィナの記述参照)。98年から深刻化したコソヴォ問題に対しては、多数の難民・避難民発生に伴い、99年4月、難民支援、難民受入れ周辺国への支援及び和平後のコソヴォ復旧・復興、難民帰還支援として総額約2億ドルの支援、また、追加支援として計3700万ドルの支援を行うことを表明し、着実な実施に努めている(詳細は旧ユーゴースラヴィア地域の記述参照)。

3.我が国政府開発援助のあり方

(1) 中・東欧諸国は、89年以来、民主化・市場経済化への努力を続けており、我が国としてもこうした望ましい動きを促すため、市場経済化、経済インフラの再建、環境問題等の課題への支援を行うこととしている。その際、G24の枠組みにおける援助国・機関との協調の下に、支援の効果を図るものとする。二国間ベースでは、有償資金協力及び技術協力を中心に、経済インフラ整備、人材育成、中小企業育成、環境等の分野を重点とする支援を行っている。また、この地域においては、改革・経済発展の進行の度合いが多様化しつつあり、各国の実情に応じた支援の実施が必要となっている。
(2) ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、コソヴォ等の旧ユーゴー問題については、その復旧・復興、和平の定着は国際社会が協調して取り組むべき課題であるため、我が国としても、紛争国及び難民を受け入れている紛争周辺国に対する難民支援等の人道支援、基礎生活分野支援、復旧・復興のための経済・社会インフラ整備、選挙実施に関する協力等を行う必要がある。

表―2 欧州地域に対する我が国二国間ODA実績
図―2 欧州地域及び全世界に対する我が国二国間ODAの形態別構成(99年、支出純額)


表―3 欧州地域に対する我が国二国間ODAの形態別・国別・年度別実績

(1) 有償資金協力
(2) 無償資金協力
(3) 技術協力
表―4 欧州地域に対する我が国技術協力の年度別・形態別実績
表―5 欧州地域に対する我が国技術協力の分野別実績(99年度までの累計)
表―6 欧州地域に対する我が国無償資金協力の分野別実績

(1) 全体内訳
(2) 一般無償内訳
表―7 欧州地域に対するDAC主要援助国の二国間ODAの推移
表―8 欧州地域に対するDAC主要援助国の国別二国間ODA実績(98年)
表―9 我が国の旧ユーゴースラヴィア難民・避難民・被災民援助実績
表―10 欧州地域に対するDAC諸国・国際機関のODA実績

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無償資金協力
技術協力
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