2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) 我が国は、以下の点を踏まえて、ODA大綱に則りモンゴルへの援助を実施することとしている。
(イ) 90年以降、モンゴルが民主化及び市場経済化に向けた改革を進めていること。
(ロ) モンゴルの安定と経済発展は、周辺地域における政治的・経済的安定にとって重要なものであること。
(ハ) 内陸国であるとともに、市場経済への経済体制の移行期にあり、経済基盤の未整備、貧富の差の拡大等の課題があることから、援助需要が大きいこと。
(2) モンゴルにおける開発の現状と課題等を踏まえ、我が国は97年3月に経済協力総合調査団をモンゴルに派遣し、モンゴルの経済・社会開発計画等を踏まえ、重点分野の選定及び各重点分野における我が国の中長期的な対モンゴル援助方針について協議を行った。こうした、政策対話等を踏まえ、我が国は以下の分野を援助の重点分野としている。
(イ) 産業振興のための経済基盤及び条件整備(エネルギー、運輸、通信等のインフラのリハビリ)
(a) エネルギー
 エネルギー供給の回復を図るための現有施設のリハビリテーションへの協力、発電所の安定操業、炭坑の生産性向上や経営改革、構造改善等に資する協力。
(b) 運輸
 鉄道については鉄道路線、設備の充実等への協力、道路については幹線道路整備等既存施設の改修、主要都市の公共交通サービスの改善等への協力。その際には十分な大気汚染防止策を図る。
(c) 通信
 通信網整備への協力、通信網を支える人材育成のための専門家派遣・研修員受入等の協力。
(ロ) 市場経済移行のための知的支援、人材育成
 経済政策及び法制度・行財政改革への知的支援に資する専門家派遣、研修員受入等の協力。
(ハ) 農業・牧畜業振興
 長期的農業計画の策定、協同組合の運営体制・農畜産物流通体制の整備に関する協力及び農業技術の開発・普及等に関連する協力。
(ニ) 基礎生活支援(教育、保健・医療、水供給)
(a) 教育
 教育施設改善及び教員能力向上等の充実に向けた協力。高等教育の質の向上及び基礎的な職業教育への協力。
(b) 保健・医療
 基礎的医療機材整備、医師・看護婦の再訓練及び育成の実施に資する援助、母子保健への協力。将来的な医療体制の整備への協力。
(c) 水供給
 既存施設整備、拡充及び水質改善の推進による水供給の安定化への協力。
(3) 我が国は91年から7回にわたり、世銀との共同議長の下、「モンゴル支援国会合」を主催し、対モンゴル支援の国際的枠組み構築に努めている。
 99年6月には、25カ国、12国際機関が参加して第7回会合が、初めてウランバートルで開催され、参加ドナーから計3億2,000万ドルの支援表明がなされた。
(4) 我が国の援助は、89年度までは、技術協力として研修員受入、専門家派遣、機材供与、また、資金協力として教育、広報用の機器を中心とした文化無償援助にとどまっていたが、モンゴルの民主化の進展を受けて、90年度以後両国の経済協力関係に大きな進展が見られた。一方でモンゴル側においても実施体制の強化等の援助吸収能力の一層の向上が重要である。
 有償資金協力としては、91、92年度に商品借款を供与したのに引き続き、93年度以降プロジェクト借款を供与している。
 無償資金協力は、90年度からの一般無償援助の再開、91年度からのノンプロジェクト無償の実施等、大幅に拡充された。
 技術協力においては、研修員受入れ枠の拡大等全般的に拡充されるとともに、青年海外協力隊の派遣取極めが締結され(92年4月より派遣開始)、93年度からはプロジェクト方式技術協力が実施されている。また、99年7月小渕総理がモンゴルを訪問した際、シニア海外ボランティア派遣の文書に署名した。
 開発調査は99年度は再生可能エネルギー利用地方電力計画や鉱物資源探査、市場経済化支援調査等7件が実施された。
 なお、99年から2000年の冬季、モンゴルでは30年振りと言われる雪害(ゾド)が発生し、家畜240万頭以上が死亡する等多数の牧民とモンゴル経済に大きな打撃を与えた。我が国政府はこれに対し食糧援助、ノンプロジェクト無償の実施のほか、我が国及び現地NGOに対する草の根無償の供与により支援を行うとともに、この雪害及び2000年夏に発生した深刻な干ばつ災害に見舞われた同国に対し、約10.4億円の緊急無償援助を実施した。
(6) モンゴルは、従来主要援助国であった旧ソ連、東欧諸国からの援助が、90年以後各国の体制変革と経済情勢の悪化を反映して激減するのに対し、DAC主要国との関係を緊密化させるとともに、91年にADB、IMF、世界銀行にそれぞれ加盟した。また、2000年には欧州復興開発銀行(EBRD)に加盟した。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)99年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)99年度実施開発調査案件
(参考3)99年度実施草の根無償資金協力案件
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