[20]ドミニカ共和国

1.概  説

(1) 前フェルナンデス政権(ドミニカ解放党)(注:同政権の任期は2000年8月16日まで)は、国家の近代化と積極外交を掲げ、96年の大統領就任以降、年平均7%以上という中南米随一の経済成長を遂げると共に、米国、欧州、中南米・カリブ諸国、更には我が国を含むアジア諸国との積極的な外交関係の構築に努めた。しかし、同党は議会内では少数派であったため、種々の改革法案が廃案に追い込まれるなど困難な議会運営を強いられた。なお同大統領は、2000年2月、同国の大統領として初めて我が国を公式訪問し、小渕総理(当時)と幅広い意見交換を行った。
(2) 2000年5月に行われた大統領選挙では、ドミニカ革命党のメヒーア候補が、その親しみやすい人柄から国民の支持を集め、新大統領に選出された。同大統領は選挙中から庶民層に配慮した発言を繰り返し行っており、新政権の下での政策運営が注目されている。なお同大統領は10回以上の訪日歴を有し、同国有数の知日派といわれており、我が国との更なる関係増進が期待されている。
(3) 同国の経済は、基本的には、農業、鉱業、軽工業及び観光業に依存しており、農林水産業が国内総生産の大きな割合を占めている。主要な農産品は、砂糖、コーヒー、カカオ、タバコ等であり、主要な鉱産品はフェロニッケル、金・銀等である。但し近年は、観光業(外国からの年間の観光客数約220万人)、自由貿易地域(フリーゾーン)における生産・貿易活動が大きく成長している。また、約100万人ともいわれる米国在住の同国人からの外国送金も、同国経済を支える大きな要素であると指摘されている。対外債務残高は減少傾向にあり、98年は約35億ドルとなっている。
(4) 我が国と同国は伝統的に良好な関係を維持しているが、貿易の規模は大きいとはいえず、98年実績で我が国の輸出は385億円、輸入は35億円となっている。なお、同国には約800名の日本人移住者及び日系人が居住している。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) ドミニカ共和国は安定した民主主義国家であり、カリブ地域の平和と安定に重要な位置を占めること、構造調整政策により国内経済立て直しに堅実に取り組んでいること等を考慮し援助を実施している。98年のハリケーン・ジョージによる災害に対しては、国際緊急援助隊・医療チームを派遣するとともに、緊急援助物資(1600万円相当)及び緊急無償資金(10万ドル)を供与した。また、99年6月には、同ハリケーン・ジョージの被害を勘案し、ドミニカ共和国政府の要請に基づき総額約29億円(円借款約18億円、民間債務約11億円)にのぼる債務救済措置を講じた。
(2) 有償資金協力では、80年代に通信、農業開発、水力発電などの案件を行い、85年度、92年度に債務繰延べ、93年度には「アグリポ地域農業開発計画(02)」に対し円借款を供与している。
 無償資金協力については、医療・保健、教育、農業分野等における一般プロジェクト無償のほか、食糧増産援助、文化無償、草の根無償等を供与している。開発調査については農業分野等で実施している。
 また、99年4月に経済協力政策協議調査団を派遣している。技術協力では、農業、保健・医療などの分野を中心に専門家派遣、研修員受入れ等の協力を行っており、青年海外協力隊も派遣している。
 2000年4月には、日本人移住者に対して、同国よりラ・ルイサ地区の土地が譲渡されることが決定されたことを受けて、両国友好のシンボルとして、同地域の開発に対する協力の可能性を探るため、プロジェクト形成調査を実施した。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)99年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)99年度実施開発調査案件
(参考3)99年度実施草の根無償資金協力案件
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