[7]ガイアナ

1.概  説

(1) 1966年に英国より独立し、85~92年のホイト政権下において、自由経済、民主化、西側先進国との関係強化に努め、92年に発足したチェディ・ジェーガン政権も改革路線を継承した。97年末の大統領選では、ジャネット・ジェーガン(チェディ・ジェーガン前大統領夫人)が当選したが、敗れた野党が選挙不正があったとして抗議行動を起こし、98年1月には大規模なデモを行うなど情勢が悪化した。カリブ共同体の仲介により、デモの中止、大統領任期の3年への短縮を含む憲法改正及び選挙結果の審査に関する国際的検証の実施につき与野党間で合意が成立し、情勢は一時沈静化したが、同年6月末に反政府運動が再発し、ホイト野党党首がこれを支持したため、1月の合意は事実上破棄された。その後、同年7月にカリブ共同体仲介のもと、ジェーガン大統領とホイト党首が会見を行い、再度合意文書に署名を行い、反政府運動は沈静化した。99年8月には健康上の理由でジェーガン大統領が辞任、ジャグデオ蔵相が新大統領に就任した。当初、ホイト野党党首は、ジャグデオ大統領の正当性は認めない旨発表していたが、現在は歩み寄りの姿勢を見せている。
(2) 外交面では、米国をはじめとする西側諸国との関係強化に努めつつ、非同盟運動諸国との連帯関係を維持している。また、近年、同国を含むカリブ共同体加盟諸国は、外交政策を調整するなどして国際社会における発言力を強めてきており、国連をはじめとする国際機関等においては共同体内で意思統一もしくは政策調整を行っている。
(3) 経済面では、農業及び鉱業が主要産業で、ボーキサイト、砂糖、米が輸出額の約5割を占めている。また、金、ダイヤモンドを産出し、漁業(主としてエビ)も盛んである。砂糖や米、ボーキサイトの国際価格の低落及び経済政策の失敗もあって80年代に経済は低迷を続けたが、チェディ・ジェーガン政権下では、公営企業の合理化・民営化等に努め、為替切下げ・経済自由化を柱とする経済復興計画を推進し、94年まで年平均7.7%の高成長を維持したほか、財政赤字削減、インフレ抑制にも成果を出し、97年にはGDP成長率6.1%(国連)を達成した。しかしながら、98年に経済が落ち込み、99年には「重債務貧困国」としてHIPCイニシアティヴに基づく債務救済措置が適用され、更に2000年11月には拡大HIPCイニシアティヴの決定時点(Decision Point)を迎える見込みである。
(4) 日・カリブ共同体間では93年より日・カリブ協議を開始し、協力関係を強化しつつある(カリコム事務局はガイアナに所在)。また、ガイアナ沖合にエビの好漁場があることから、水産分野で我が国との関係が深い。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) ガイアナは中南米諸国の中でも最も貧しい国の一つであること等を考慮し、無償資金協力及び技術協力による援助を実施している。
(2) 無償資金協力については、74年度以来、主に水産、農業、エネルギー分野において協力を行っている。我が国による発電及び精米施設等の供与はガイアナの国民生活に直接裨益するプロジェクトとして高い評価を受けている。
 技術協力については、工業などの分野において研修員受入れを中心とする協力を行っている。また、ガイアナに所在するカリブ共同体・共同市場事務局に対し、専門家を派遣している。
(3) 98年5月には干魃被害に対して総額約800万円相当の簡易水槽を緊急援助物資として供与した。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考)99年度実施草の根無償資金協力案件
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