(1) 1973年から続いた軍政が、85年に民政移管され、サンギネッティ、ラカジェの二つの政権を経て95年再度サンギネッティ政権が発足した。同政権(95年3月~2000年2月)は、民主主義と市場開放政策を堅持し国際協調路線を尊重していくことを表明、与党多数の安定政権として、選挙制度改革、財政健全化のための改革、教育改革等を実現した。2000年3月に発足したバジェ政権は、前政権の路線を踏襲し、財政健全化、経済再建のため更なる改革に取り組んでいる。
外交面では、伝統的に欧米諸国及び中南米諸国との連帯と友好協力関係の強化、国連や米州機構(OAS)の重視等を基本政策としている。近年は、アジア太平洋地域との経済関係を中心とした関係緊密化も図っている。
(2) 経済面では、伝統的主要産業は農牧業であり、第一次産業はGDPの約10%を占めているほか、GDPの約30%以上を占める第二次産業においても、食品、羊毛製品、皮革加工品など、農牧業を基礎としたものが中心である。また、観光も盛んでその収入は羊毛、牛肉の輸出をも上回るほどである。
70年代に経済発展を遂げたが、80年代に入り、ペソの過大評価による国際競争力の低下、世界的な不況による一次産品価格の下落などのために、経済は停滞した。90年代に入り、ラカジェ政権は社会保障制度改革、電電公社民営化に失敗したが、ザンギネッティ政権は社会構造の改革とインフレ抑制を目指し、経済成長は95年こそマイナス1.8%にとどまったが、96~98年は年4%の成長を達成した。但し、99年はブラジル金融危機の影響によりマイナス2.5%と低迷した。インフレ率は、92年の59.0%から97年15.2%、99年4.2%と収束しつつある。貿易収支は、92年より赤字傾向にある。
(3) 我が国とは1921年に外交関係を樹立し、伝統的に友好な関係を有している。98年6月には、サンギネッティ大統領が訪日している。2000年3月に成立したバジェ新大統領の就任式典には谷衆議院議員を特派大使として派遣している。