(1) 二国間ODAについてみると、我が国は99年に支出純額ベースで二国間ODA総額105.0億ドルの7.8%に相当する8.14億ドルを中南米地域に供与した。中南米地域に対するODAのシェアは、ここ10年間、98年を除き10%前後(96年の11.8%が過去最高)で推移している。
中米における今世紀最大規模といわれる98年10~11月のハリケーン・ミッチによる災害に対し、我が国は緊急援助物資の供与、緊急無償資金協力に加え、ニカラグァには国際緊急援助隊・医療チームを、ホンデュラスには国際緊急援助隊派遣法に基づく初めての自衛隊部隊の派遣をそれぞれ実施し高い評価を得た。また、被災後も継続してインフラ等の緊急的な復旧及び中長期的な復興支援のための調査団や専門家派遣等を実施し、99年5月の対中米支援国会合では、復興支援として99年末までに360億円程度の支援を行なう旨表明してこれを実施し、更にこれまで500億円を越える支援を行ってきている。また、98年9~10月のハリケーン・ジョージによるカリブ地域における水害等の被災、99年1月のコロンビアにおける地震災害に際しても、我が国は緊急援助物資の供与、緊急無償資金協力を行うとともに、国際緊急援助隊救助チーム及び医療チームを派遣した。また、インフラ等の復興支援のために専門家等を派遣している。また、99年12月のヴェネズエラ洪水に際しては、緊急物資、緊急無償資金協力を行うとともに復興支援専門家を派遣した。
(2) 中南米地域に対する我が国ODA支出額の形態別構成をみると、70年代初めには有償資金協力が約70%のシェアを占め、技術協力のシェアは約20%、無償資金協力のシェアは数%に過ぎなかったが、その後は、技術協力、無償資金協力の占めるシェアが増加している。99年においては、有償資金協力28.9%、技術協力39.7%、無償資金協力31.4%となっている。所得水準が高い国が多いため、他の地域と比較して技術協力のシェアが高いことが、中南米地域の特徴となっている。
有償資金協力は、従来、運輸、エネルギー、通信等の経済インフラや農業分野を中心に年間1億ドル台の供与を行ってきたが、近年、中南米各国が民主化や経済改革に真剣に取り組んでいることを踏まえ、89年以来大幅な伸びを示し、91年には4億6,297万ドルと大きな伸びを示した。92~98年では1~4億ドルで推移しており、協力分野もインフラ整備から環境保全に広がり、特にブラジル、メキシコ等に対しては環境関連の案件につき協力を行っている。
技術協力は、中南米地域のニーズが高く技術吸収能力も高いなど受入れ条件が比較的整っていることから、従来より活発に行ってきており、99年もアジアに次いで実績が多く、ブラジル、メキシコの2カ国が我が国の技術協力供与国の上位10位以内に入っている。また、南南協力の一環として、メキシコにおいては中米・カリブ諸国向け、ブラジルでは中南米及びモザンビーク等アフリカのポルトガル語圏向けの第三国研修も拡充されつつある。99年6月には、チリによる南南協力への支援を更に強化するため、「日本・チリ・パートナーシップ・プログラム(JCPP)」の署名、更に2000年3月にはブラジルとの間に同じく「日本・ブラジル・パートナーシップ・プログラム(JBPP)」の署名が行われ、中南米、カリブ等の開発途上国に対し、日本・チリ及び日本・ブラジル共同の経済・社会開発支援事業を実施していく基本的枠組みが策定された。
無償資金協力では、保健・医療、民生・環境、教育分野を中心に協力が行われているほか、災害復旧支援、水産及び文化分野での協力も多い。また、よりきめの細かい援助ニーズに応えるため、一般プロジェクト無償の対象となっていない国についても草の根無償の実施・導入を進めている。