(1) 69年にカダフィ大佐を中心とする青年将校によるクーデターにより王制が廃止され共和制に移行した。カダフィ大佐の唱える宗教と民族主義に基礎を置く「第三世界理論」に基づき、イスラム教を基調にした社会主義的、民族主義的民主国家の建設が目標とされている。
(2) 外交方針も「第三世界理論」を基礎としており、イスラム社会の連帯とアラブの統合を基本方針としてきた。しかし、アラブの統合がはかばかしくないため、最近は主たる関心をアフリカ大陸に移し、アフリカ統一機構(OAU)等を舞台としたアフリカ統一運動を唱道している。
(3) パンナム機(88年12月)及びユナイテッド・エアライン機(89年9月)の爆発・墜落事件へのリビア当局の関与を理由として、92年4月から国連安保理決議により航空機乗入れ停止等を内容とした制裁措置がとられ、更に、93年12月からは、石油関連機材等の供与の禁止、在外リビア当局資産の凍結等、制裁が強化された。その後、99年4月に入ると、リビアはロッカビー事件の被疑者2名をオランダ国内に設置されたスコットランド法に基づく法廷に引き渡した。これを受け、国連安保理は、92年より適用してきた制裁措置を停止したが、現在に至るまで解除には至っていない。
(4) 国連安保理制裁の停止を受け、リビアの国際社会への復帰が進んでいる。特に石油、ガス分野においては、上流部門を含め外資に対して積極的に解放することにより、生産量を大幅に拡充することとしている。
(5) 我が国との関係では、本年2月、ズリティニ経済・貿易相がリビア側閣僚としては15年振りに訪日したほか、4月のトリポリ国際見本市には我が国から官民合同で参加した。我が国はリビアから魚介類を輸入(99年輸入額2.05億円)、同国に鉄鋼、自動車等を輸出している(同輸出額49.49億円)。