(1) 89年6月に、バシール将軍がクーデターにより政権を奪取し、93年10月民政移管したが、政党活動は非合法化され、民族イスラム戦線(NIF)主導の一党独裁体制の下、イスラム原理主義に基づく政策を進めている。96年3月大統領及び国民議会選挙が実施され、バシール大統領が再選された。同国南部における内戦については、スーダン人民解放軍(SPLA)を中心とする反政府勢力が、96年10月反政府統一武力闘争の開始を宣言し、97年には一段と内戦が拡大した。現在、東アフリカ地域の政府間機構である政府間開発機構(IGAD)の仲介の下、両者の間で直接交渉が進行し、99年紛争処理メカニズムとしての「常設事務局」がナイロビに創設されたが、最終的解決には程遠い状況にある。
また、99年12月、バシール大統領は「国家非常事態宣言」を布告し、国民議会を解散させたが、その後の2000年1月新内閣が発足している。なお、「国家非常事態宣言」は2000年12月末まで期限が延長された。
(2) 外交面では、現政権発足以降、国内における人権問題及びテロ支援疑惑等により、国際社会との関係を著しく悪化させている。特に、95年6月ムバラク・エジプト大統領暗殺未遂事件に関与した容疑者3名を匿っているとして、96年1月に容疑者の引き渡しと国際テロ支援の停止を求める国連安保理決議1044、同年4月に同決議の履行を促すため国連加盟国に対スーダン制裁を求める国連安保理決議1054が採択され、国際的な孤立を深めた。現在、エジプト、エティオピア、エリトリア等の近隣諸国及び一部の欧州諸国との関係で一定の進展が見られ、特に、99年5月に外相がエジプトを公式訪問し、また99年11月以降首都ハルトゥームにおいて、EUとの政治対話を定期的に実施する等、国際的孤立からの脱却を図っている状況にある。
(3) 経済面では、内戦の継続のための莫大な出費、諸外国からの支援の全面停止等により、財政が逼迫し、各種インフラ、教育、医療等の公共サービスの低下が生じ、また、経済は疲弊し、国民の大部分は困難な生活状態にあり、貧困層は拡大している。更に、多額の国際収支赤字を抱えているほか、約200億ドル(推定)の対外債務を抱え、負債返済が滞っている状況にある。一方、外国企業との合弁で石油開発プロジェクトが進行しており、国内油田から港までのパイプラインが建設され、99年8月から石油輸出が開始された。また2000年6月には付加価値税が導入され、一定の経済・財政状況の改善も見られる。
(4) 我が国は、スーダンから綿花、アラビア・ゴム等を輸入し(98年輸入額2,197万ドル)、同国に機械その他の工業製品を輸出している(同輸出額4,695万ドル)。