(1) 94年以降勢力を拡大した新興勢力タリバーンが96年9月には首都カブールを制圧した。以降は主に北部の山岳地帯を支配するラバニ派、ドストム派、ハリリ派等が反タリバーン派(北部同盟)を結成して対抗している。毎年春から秋にかけてタリバーンは北部地域への軍事攻撃を活発化させているが、反タリバーン派側も周辺国等の支援を受けながら攻撃を押し返しており、戦況は一進一退である。数次に亘り国連等の仲介によりタリバーンと反タリバーン各派との直接対話及び和平会合が行われたが、いずれもその後戦闘が激化しており、和平への糸口とはなっていない。現在、タリバーンがアフガニスタン全土の8~9割を支配するに至っているとされるが、反タリバーン派との戦闘が継続する中で、国土の荒廃、難民の増加等の現象は改善の兆しを見せておらず、アフガニスタン国民の困窮は増加する一方である。
(2) 93年12月の国連総会決議に基づき設立された国連アフガニスタン特別ミッション(UNSMA)は引き続き和平に向けた活動を継続しており、2000年2月に就任したヴェンドレル事務所長を中心として、アフガニスタン近隣諸国、アメリカ及びロシアに対する働きかけを行う等、和平活動を実施しているが、和平実現の見通しは依然として立っていない。
(3) 我が国は、地域の安定等の観点から、中立的な立場で国連の活動を補完し、支援しつつ、アフガニスタンの和平実現を目指している。なお、79年の旧ソ連軍侵攻(89年2月に撤退)以降、同国全土を実効的に支配している政府は存在しないため、我が国はその後の累次の「政権」を政府承認していない。