3.我が国政府開発援助のあり方

(1) 我が国は、ソ連崩壊後の新たな国際情勢の下でアジアの一角としての中央アジア及びコーカサス地域の重要性を考慮し、ODA大綱原則を踏まえ、これら諸国の市場経済導入の努力を積極的に支援していくことを目的として、今後も人材育成のための技術協力や経済改革に伴う困難を緩和するための資金協力を中心とした援助を行う方針である。特に、97年7月に橋本総理(当時)が「ユーラシア外交」を提唱し、「シルクロード地域」としての中央アジア及びコーカサス地域に対する積極的な外交を展開していく方針を提示したことを踏まえ、この地域との政治・外交、経済・開発、文化などの分野における対話、協力、交流を積極的に進めていく。
(2) この地域の諸国は、独立後の自立的な経済発展のための基盤が十分に整備されていないとの共通の課題がある。これを踏まえて、この地域に対する我が国開発援助は、(1)民主化・市場経済化のための人材育成と制度造り、(2)運輸・通信インフラを中心とする経済インフラの整備、(3)保健・医療、教育等の社会セクターへの協力、(4)環境保全の4分野が重点となる。
(3) 有償資金協力については、中央アジアに対しては経済発展に資する運輸・通信インフラを重点的に、またコーカサスに対しては国際収支改善に資するエネルギー分野を重点的に、優良なプロジェクト案件を中心に実施していく。
 無償資金協力については、これらの国の国内情勢等を考慮し、市場経済化に伴う困難緩和のための支援として、技術協力等との連携にも留意しつつ、保健・医療、教育、環境等の分野を中心に実施していく。
 技術協力については、市場経済、保健・医療、各種行政分野、環境を中心として、経済、社会の発展を担う人材の育成を支援していく。
 また、開発調査については、市場経済の定着、社会・経済基盤の整備、環境保全等の面で技術移転効果が高い案件につき実施していくとともに、鉱物資源開発についても協力を検討していく。

表―2 中央アジア及びコーカサス地域に対する我が国二国間ODA実績
図―2 中央アジア・コーカサス地域及び全世界に対する我が国二国間ODAの形態別構成



表―3 中央アジア及びコーカサス地域に対する我が国二国間ODAの形態別・国別・年度別実績

(1) 有償資金協力
(2) 無償資金協力
(3) 技術協力
表―4 中央アジア及びコーカサス地域に対する我が国無償資金協力の分野別実績

(1) 全体内訳
(2) 一般無償内訳
表―5 中央アジア及びコーカサス地域に対する我が国技術協力の年度別・形態別実績
表―6 中央アジア・コーカサス地域に対する我が国技術協力の分野別人数実績(99年度までの累計)
表―7 中央アジア及びコーカサス地域に対するDAC主要援助国の二国間ODAの推移
表―8 中央アジア及びコーカサス地域に対するDAC主要援助国の国別二国間のODA実績(98年)
表―9 中央アジア及びコーカサス地域に対するDAC諸国・国際機関のODA実績

ODA NET
政府貸付
無償資金協力
技術協力
表―10 中央アジア及びコーカサス地域に対する国際機関のODA実績

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