[39]マラウイ
1.概 説
(1) マラウイ議会党(MCP)による一党制の下で独立以来政権の座に就いていたバンダ大統領に対し、92年3月民主化を求める声が高まり、また、援助国側も、マラウィの民主化の遅れ及び人権状況を理由に人道援助以外の援助の制限を検討する動きを見せた。こうした中、93年6月の国民投票により、複数政党制への以降が決定され、国外亡命者の赦免、終身大統領制の廃止等の民主化措置を実施し、94年5月には複数政党制による独立後初めての大統領選挙及び議会選挙を実施した。その結果、野党統一民主戦線(UDF)が議会選挙で勝利し、ムルジUDF党首が大統領に就任し、政権交替が平和的かつ民主的に行われた。
(2) 外交面では、アフリカ諸国の中で唯一早くから南アフリカ共和国と外交関係をもつなど独自の路線をとり、また、領土を巡る緊張もあり、従来周辺国との関係は良好とは言えなかった。しかし、南アフリカ共和国の民主化の達成やマラウイの政権交代により、周辺国との関係は改善され、南部アフリカ開発共同体(SADC)諸国との協調を重視している。
(3) 経済面では、農業を基盤としているが(GDPの約40%、労働人口の約85%、輸出の90%)、主要産物であるタバコ、茶、砂糖等の国際価格の動向に左右され、経済基盤は脆弱である。今後の課題として財政赤字の削減、インフレの抑制、経済の多角化等がある。
(4) 我が国は、マラウイからタバコ等を輸入し(99年輸入額2,318万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額1,512万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) 我が国は、92年から94年にかけて民主化の遅れ及び人権状況を理由に新規の国際収支支援型の援助を一時停止していたものの、民主化促進の動きが見られたため、マラウィの民主化・経済改革努力を支援するため、有償資金協力、無償資金協力及び技術協力の各形態により積極的に援助を実施してきた。
97年2~3月には、無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を、99年8月にはプロジェクト確認調査を実施した。今後は、農業分野における生産性向上を目的とした農村地域の開発と貧困層の生活環境改善のための基礎生活分野に対する支援(食糧増産、教育、保健・医療、環境保全)を中心に可能性を検討することとし、また、長期的な視点から、構造調整支援に加え、同国の民間活動の活性化と、経済成長のため、電力・通信・運輸等経済基礎インフラ整備に対する支援の可能性を検討する方針である。
(2) 有償資金協力については、空港及び通信施設の整備等に円借款を供与してきたが、近年はプロジェクト案件の実績はなく、又、マラウイは、重債務貧困国(HIPC)であり、ケルン・サミットでの合意に基づいて成立した「拡大HIPCイニシアティブ」による債務削減措置の適用を求めていることから、新規の円借款の供与は困難である。今後は、同国に対して無償資金協力及び技術協力を中心とする協力を検討していく方針である。
無償資金協力については、食糧援助・食糧増産援助をはじめ、農業分野、水供給分野等基礎生活分野を中心に援助を実施している。また、同国の構造調整努力を支援するため、99年度までに合計241億円の円借款及び合計26億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。
技術協力については、特に青年海外協力隊による協力が早くから進んでおり(隊員派遣数の累計はアフリカ地域で第一位、全世界でもフィリピンに次いで第二位)、保健・医療、社会基盤、行政、工業等多岐にわたる分野に隊員が派遣され、同国における評価も高い。また、農業、運輸、保健・医療、教育等で開発調査を実施している。
(3) マラウイ政府は「貧困削減戦略ペーパー(Poverty Reduction Strategy Paper)」(暫定版)を鋭意作成中であり、我が国としても右作業に積極的に貢献していく方針である。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)99年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)99年度実施開発調査案件
(参考3)99年度実施草の根無償資金協力案件
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