(1)　93年の大統領選挙でパタセ大統領が選出された。96年には給与遅配に端を発し、国軍の一部兵士が3度にわたって反乱を起こし、アフリカ4カ国元首による共同調停が行われた結果、停戦合意が成立。この4カ国を含むアフリカ6カ国で構成されるアフリカ仲介軍（MISAB）が同国に派遣され、MISABの任務終了後、98年4月からは国連PKO（MINURCA）が派遣された。同年11月、12月には国民議会選挙が実施され、99年9月の大統領選挙ではパタセ大統領が再選された。MINURCAは2000年2月に撤退し、その後は国連平和構築事務所（BONUCA）が同国の復興を支援している。
(2)　外交面では、非同盟を基本としつつ、内陸国という地理的条件を考慮し、近隣諸国との友好関係の維持を図るとともに、経済困難からの脱却を図るために旧宗主国フランスをはじめとする先進諸国からの経済協力の獲得に努める現実的政策をとっている。
(3)　主要産業は農林業であり、GDPの約56％、労働人口の約80％を占めている。96年のGDP成長率は、現地情勢の悪化を受けてマイナス成長（－1.5％）となったが、その後の情勢安定化に伴い経済も回復しつつあり、2000年のGDP成長率は推定5.2％と見込まれている。
(4)　我が国は、中央アフリカから木材等を輸入し（99年輸入額46万ドル）、同国に自動車等を輸出している（同輸出額421万ドル）。

　我が国は、ODA大綱を踏まえ、無償資金協力及び開発と女性（WID）や社会基盤分野等での研修員受入等の技術協力を中心に援助を実施している。無償資金協力については、食糧増産援助のほか、基礎生活分野、道路分野等で一般無償を実施している。また、98年度までに構造調整支援のためのノン・プロジェクト無償資金協力を合計19億円を供与した。
　同国に対する一部の支援については、96年に相次いで発生した国軍の一部兵士の反乱事件による政情不安、治安の悪化に伴い、一時的に中断された。その後、MISAB及びMINURCAの治安維持活動もあり、現地情勢が落ち着いたため、支援を再開した。99年9月のパタセ大統領再選、2000年2月のMINURCA撤退後も情勢は安定的に推移しており、同国の民主化促進、経済の安定化に資する支援を検討する。
　また、同国政府は、2000年後半を目途に「貧困削減戦略ペーパー（Poverty Reduction Strategy Paper）」（暫定版）を作成中であり、我が国としても右作業に積極的に貢献していく方針である。