(1) 象牙海岸では、1960年の独立以来政権の座にあったウーフェ・ボワニ大統領が93年12月に逝去。憲法規定に基づき94年2月ベディエ国民議会議長が大統領に就任し、翌95年の大統領選挙で正式に大統領に選出された。
しかし、99年に入り、2000年10月に実施予定の大統領選挙を巡り、野党幹部が逮捕・投獄され、野党有力対立候補であるワタラ氏に逮捕状が発出されるなどしたため、野党及びその支持者のデモも発生し、国内の社会不安が急速に増大していった。
このような状況の中、99年12月23日、賞与未払い等の待遇改善を要求する一部兵士による騒擾事件発生を契機として、ゲイ元参謀総長が全権を掌握し、憲法停止等を発表した。2000年1月4日、ゲイ元参謀総長を首班とする暫定政府が成立し、憲法改正国民投票、大統領選挙、国民議会選挙等、一連の民主化スケジュールを発表した。
その後、2000年10月に大統領選挙が実施されたが、暫定政権による一方的な選挙結果の発表を巡り民衆の抗議行動が発生し、ゲイ元参謀総長は失脚した。また、選挙の結果成立したバグホ政権の下、一部政党は不参加であったものの2001年1月までに国民議会選挙が実施されるなど同国の民主化プロセスは一定の進展が見られる。
(2) 外交面では1960年の独立以来、フランスを中心とする西側諸国からの民間投資を積極的に受け入れ、また非同盟主義を建前としつつも、西側よりの穏健かつ現実的な外交政策をとっている。また、アフリカ統一機構(OAU)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)に加盟しており、アフリカ開発銀行の本部をアビジャンに、西アフリカ稲開発協会(WARDA)の本部をブアケに置くなど、西アフリカ及びアフリカ全体の地域機関とも積極的な関係を有している。
(3) 経済面では、同国の基幹産業は農業であり、GDPの3分の1、輸出総額の約2分の1を占め、農業就業人口は労働人口の65%を占める。主要な農業産品はココア、コーヒーであるが、近年の国際価格の低迷、膨大な対外債務により経済的危機に陥り、89年8月より、IMF・世銀の指導の下、構造調整計画を開始したが、99年初めには経済改善策が不十分としてIMFによる融資が停止されたほか、EUの援助約180億CFAフランに対する汚職が暴かれ、EUの援助が停止されるなど同国は厳しい対応を迫られている。
(4) 我が国との関係は従来より良好であり、貿易関係については、我が国は、象牙海岸から実綿、コーヒー、カカオ等を輸入し(99年輸入額1,242万ドル)、同国に自動車、タイヤ等を輸出している(同輸出額6,976万ドル)。99年6月には、同国元首として初めてベティエ大統領が来日した。