[18]シエラ・レオーネ

1.概  説

(1) 97年5月、政府軍下級兵士によるクーデターが発生し、カバ大統領がギニアへ脱出し、コロマ少佐を議長兼国家元首とする軍事革命評議会が設立された。その後西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)及び国連安保理が解決に向けて努力し、クーデター派とECOWASとの間の和平合意が成立した。しかし、クーデター派が合意の履行に努めなかったため、98年2月にECOWAS停戦監視団(ECOMOG)によってクーデター派は駆逐され、カバ大統領が亡命先のギニアから帰国し、合法政権が復帰した。99年1月、反政府勢力である革命統一戦線(RUF)が首都フリータウンに侵攻したが、同年7月には政府とRUFとの間で和平合意が締結された。2000年5月にはRUFが国連PKO要員を拘束する事件が発生し、その後国連PKO要員は開放されたものの、同国は再び緊張状態にある。
(2) 外交面では非同盟主義、各国の主権尊重、内政不干渉を主軸とするとともに、ECOWASの一員として組織の強化に努力している。日本をはじめとするアジア諸国とも友好関係を維持している。
(3) 経済面では、ダイヤモンド、金、ボーキサイト等の鉱物資源、カカオ、コーヒー等の商品作物の輸出により外貨を得ているが、これらの国際市況の低迷、密輸の横行等を背景に経済は低迷している。また、長年にわたる内戦により、ダイヤモンド、カカオ等の主要産品の生産地域は荒廃し、主要食糧生産地域から農民が大量に流出している。92年に債務軽減と経済復興を目的としてIMFの経済再建プログラムを受入れ、財政・金融の引き締め等を図った。その結果、経済は安定化に向かったが、近年の内戦等により経済は再び混乱に陥っている。
(4) 我が国は、シエラ・レオーネから水産物、ダイヤモンド、活性炭を輸入し(99年輸入額83万ドル)、同国に自動車、漁船、鉄鋼板等を輸出している(同輸出額199万ドル)。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は、97年5月の軍事クーデター以前は、食糧援助をはじめとする無償資金協力及び研修員受入等の技術協力を中心に協力を実施していた。96年2月の大統領・議会選挙に際し、同国の民主化プロセスを支援するため、UNDPを通じ10万ドルの援助を実施した。しかし、上記軍事クーデターにおいて民主化プロセスに逆行する動きが見られたため、援助を中断しており、99年7月の和平合意後もRUFによる国連PKO要員拘束事件が発生する等情勢は必ずしも安定していない。今後の援助については、ODA大綱を踏まえ、同国の政情、治安の推移等に十分留意しつつ検討していく必要がある。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
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