(1) 91年3月の大統領選挙で、「民主結集党」(PCD―GR)支持のトロヴォアダ候補が大統領
に選出され、96年7月の選挙で再選された。一方、94年10月の国民議会選挙で第一党として政権復帰を果たした「サントメ・プリンシペ解放運動」(MLSTP)は、98年11月の国民議会選挙でも過半数の議席を獲得しており、現在は、大統領と政府与党の政党が異なる状況が続いているが、両者の関係は比較的良好である。
(2) 外交面では、旧宗主国ポルトガルと緊密な関係にあるほか、フランス等を中心とする先進諸国寄りの現実的外交(97年11月仏語圏加盟)を推進している。特に、近隣諸国及びポルトガル語圏アフリカ諸国との友好関係は緊密であり、圏内諸国間の経済開発に関する相互協力体制の確立を図っている。
(3) 経済面では、輸出収入の約9割を占めるカカオ生産以外主たる産業がなく、食糧、生活物資等あらゆる物資を輸入と援助に依存している。80年代に始まった一次産品価格の低迷は、カカオに依存する同国経済に大打撃を与えた。このため、87年から世銀・IMFの支援の下、国家財政建て直し、農産物多角化、観光及び水産業の開発を骨子とする構造調整に着手し、通貨ドブラの段階的切り下げ、関税・消費税・燃料価格の引き上げ、輸入食糧品への補助金削減等を行った。しかし、内政混乱による不適切な財政政策もあり、失業者増、多額の対外債務残高を抱える等経済状況は芳しくない。
(4) 我が国は、サントメ・プリンシペに食料品等を輸出している(99年輸出額119万ドル)。