[8]カメルーン

1.概  説

(1) 92年3月複数政党制下で初の国民議会選挙が実施されたのに続いて、同年10月大統領選挙が実施され、ビヤ大統領が再選されたが、その後野党との対立が続き、民主化プロセスは後退した。96年1月に実施された統一市長選挙では野党が健闘したが、97年5月の国民議会選挙では、与党が過半数の議席を確保した。また、同年10月の大統領選挙では、主要野党の選挙ボイコットもあり、圧倒的多数で同大統領が再選された。同大統領は有力野党との連立政権を発足させることに成功し、政治的安定が続いている。
(2) 外交面では、非同盟路線を基調とし、旧宗主国である英仏両語圏諸国との関係強化を図るとともに、友好国との協力の多様化を推進している。また、カメルーンは中部アフリカ諸国中央銀行(BEAC)等の域内経済協力機構の主要メンバーでもある。
(3) 経済面では、農業部門がGDPの約40%、輸出収入の約36%、労働人口の約70%を占めている。80年代後半以降、同国の経済は悪化していたが、94年1月の通貨(CFAフラン)切下げにより、同国の経済は好転し始め、99年の実質GDP成長率は4.4%となっている。
(4) 我が国は、カメルーンから木材、実綿等を輸入し(99年輸入額1,066万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額2,281万ドル)。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は、従来人的資源、行政分野等での研修員受入等の技術協力、基礎生活分野を中心とする無償資金協力、インフラ整備に対する有償資金協力を実施してきた。しかしながら、ビヤ政権のガヴァナンスの問題が指摘されており、今後、同国の民主化努力の進展を注視しつつ、我が国の援助を検討していく方針である。ただし、有償資金協力については、カメルーンは既に債務削減措置を受けている上、重債務貧困国(HIPC)として、ケルン・サミットでの合意に基づいて成立した「拡大HIPCイニシアティブ」に基づく債務削減措置が適用されることが見込まれており、新規の円借款による協力は困難である。
 また、同国政府は、2000年後半を目途に「貧困削減戦略ペーパー(Poverty Reduction Strategy Paper)」(暫定版)を作成中であり、我が国としても右作業に積極的に貢献していく方針である。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)99年度実施開発調査案件
(参考2)99年度実施草の根無償資金協力案件
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