
アフリカ開発のための政策的枠組みを記述した93年のTICADにおける「東京宣言」を踏まえつつ、21世紀のアフリカ開発に向け、「貧困削減と世界経済へのアフリカの統合」を基本テーマに、我が国は、98年10月に、国連及びGCAとの共催で第2回アフリカ開発会議(TICAD










また、アフリカ開発のプロジェクトのうち、行動計画を具体化する上での参考となりうる約370の開発プログラム・プロジェクトを記載した「例示リスト」を作成した。こうした「東京行動計画」及び「例示リスト」の策定を通じ、実質的な成果を挙げ、我が国が会議開催のリーダーシップを発揮したことに対しアフリカ諸国をはじめとする国際社会から高い評価が得られた。TICAD


この結果、約200万人の児童生徒に新たな教育施設が提供され、1,500万人以上の保健・衛生面をはじめとする生活環境が改善されることが期待される。

アフリカ(ガーナ及びケニア)及びアジアに、世界保健機関(WHO)とも協力しつつ、「人造り・研究活動」の拠点として機能するセンターを立ち上げ、寄生虫対策の国際的な研究の連携・情報交換の場とするとともに、周辺諸国の人材研修等南南協力の推進拠点とする。

アジア企業の対アフリカ投資を促進するために、アジア企業とアフリカ企業とが一堂に会しビジネス取引の成立を支援するための情報支援の場としてのフォーラムを99年10月にマレイシアで開催したほか、国連工業機関(UNIDO)等の国際機関と協力して、既にネットワークを有するマレイシアの半官半民企業であるSIBEXKINK社内に、アジア・アフリカ投資情報サービスセンターを設置し、インターネットを介してアフリカ投資情報を提供する。
更に、2000年5月には「第3回アジア・アフリカ・フォーラム」をマレイシアにおいて開催した。同フォーラムにおいては、アフリカの貧困軽減のためにどのような開発を実現していくかを考える上で、農業分野開発と民間分野開発に焦点をあてた意見交換が行われた。

我が国の二国間技術協力及びUNDPやアフリカ開発銀行(AfDB)との連携を通じ、重債務を負っているアフリカ諸国の債務管理能力の向上を支援する。

(i) アジア諸国・北アフリカ諸国等で行うJICA第三国研修に5年間で1,000名のアフリカ人研修員を受け入れる予定。
(ii) インドネシア政府がブルネイの資金協力を得て1998年2月に建設した「インドネシア南南協力技術協力センター」をアジア側の南南協力の拠点と位置づけ、ここに向こう5年間で約1,000名程度のアフリカ諸国の研修生を受け入れるための資金を支援する。

アフリカにおける人造りの拠点を設置する。そのモデルケースとして、ケニアのジョモケニヤッタ農工大学(JKUAT)への我が国の協力(約20年間のプロジェクト技術協力及び約90億円の無償資金協力の実績あり)が成果を上げていることを踏まえ、JKUATをベースとして、他ドナーとも積極的に連携しつつ、実用・応用研究や企業化・商品化の分野において周辺国も裨益する人造り活動を行う。
今後は、「東京行動計画」を国・地域の各レベルで具体化していくことが重要である。その際、同計画で設定された目標の達成度を評価・モニターするための地域別レビュー会合の開催、アジア・アフリカ協力の具体的なプログラムやプロジェクトの実施促進等をUNDPアジア・アフリカ協力基金(TICADファシリティー)を通じて行う予定である。また世銀が中心となって推進されている「アフリカのための特別支援プログラム(SPA)」等国際的な努力と協調しながら支援を行うことが重要となっている。
(4) 我が国のアフリカ向け援助の基本方針
上記(2)アフリカ開発会議(TICAD)、(3)第2回アフリカ開発会議(TICAD






(5) ODA大綱原則のアフリカ諸国における運用状況
我が国は、ODA大綱において途上国の軍事支出の動向や人権・自由の保障状況等に十分注意を払う旨の考え方を明示しているが、近年、アフリカの多くの国々が、民主化政策を推進するとともに、市場指向型経済導入の努力として構造調整政策を進めており、我が国は、ODA大綱原則の観点からもこれらの諸政策の動向に注目していく必要がある。
例えば、南アフリカ共和国においては、94年4月に同国史上初めて黒人を含む全人種の参加の下で総選挙が実施され、人種間の融和を掲げるマンデラ政権が誕生した。これは民主的、平和的に新体制への移行を成功させた象徴的なケースであり、南アフリカ自身の民主化及び経済発展を促し、南部アフリカ地域、ひいてはアフリカの開発全体にも貢献する観点から、98年度には教育関連の無償資金協力や水供給関連の円借款等を実施し、同国の国造り及び人造りを支援している。
ナイジェリアに対しては、民主化に逆行する動き、人権問題等を考慮し、94年3月以降、新規援助を除く緊急的かつ人道的性格を有するものを除き停止していたが、99年2月の国民議会選挙及び大統領選挙並びに5月の民政移管完了を機に、これまでの新規援助停止の原則を見直し、99年度には食糧増産援助を、2000年度にはポリオ撲滅計画への支援をそれぞれ実施した。
他方、コンゴー民主共和国(旧ザイール)については、経済困難や民主化の遅れに対し国民の不満が高まり、91年暴動が発生して治安が悪化したため、同国に対する援助は事実上実施困難な情勢となり援助を中断した。その後樹立されたカビラ新政権は民主化プロセスの進展、経済再建に向けた努力等を国際社会に約束したため、我が国を含む国際社会は一定の支援を検討していたが、98年8月、反政府勢力による武力蜂起が発生し、事実上の内戦状態に陥ったため、援助は中断したままとなっており、99年8月のルサカ合意後も情勢は安定せず、この中断は続いている。
なお、開発途上国は各々多様な経済的・社会的背景を有しているため、西側先進国の政治制度や価値観を一方的に押し付けることは必ずしも適当ではない。ODA大綱原則の運用に際しては、開発途上国の努力の動向を注視しつつ、適切な運用を図ることとしている。
(6) 民主化支援
開発途上国の民主化促進にあたっては、開発途上国の民主化をより直接的に支援することも重要である。93年1月には、アフリカ9カ国の中堅クラスの指導者を招聘して、市場経済化と民主主義の関係、民主主義的な選挙制度等について、我が国の経験、制度等を紹介するための民主化研究セミナーをJICA主催にて開催している。それ以降、これまでに、南部アフリカ地域(94年度/10カ国)、東部アフリカ地域(96年度/6カ国)、仏語圏アフリカ地域(97年度/10カ国)及び英語圏アフリカ地域(98年度/5カ国、99年度/3カ国)をそれぞれ対象に同様のセミナーを開催した。
また、アフリカ諸国の民主化プロセスの一環として複数政党制の下で議会選挙・大統領選挙を予定している国が、選挙に必要な機材の供与等につき我が国に対して援助を要請することが近年多く見られる。98年度には、中央アフリカ、ナイジェリア及びレソトの選挙実施に対して民主化支援のための緊急無償援助計94万ドルをUNDP等を通じて供与したほか、ナイジェリアの選挙に対し、選挙監視員を派遣している。また、99年度にはジブティ大統領選挙に対する選挙監視員の派遣(4月)、南アフリカ総選挙に対する資金協力及び選挙監視員の派遣(6月)、ギニア・ビサオの大統領選挙・国民議会選挙に対するUNDPを通じた緊急無償援助24万ドルの供与(10月)を実施し、更に2000年6月にはジンバブエ議会選挙に対する選挙監視員の派遣を実施した。
今後とも、経済的困難の中で民主化を目指すアフリカ諸国に対し、可能な支援を行う方針である。
(7) 構造調整支援
前述の通り、多くのアフリカ諸国が、世銀・IMFの支援を得て構造調整の取組みを進めている。アフリカ諸国の自助努力に対する支援の必要性が高まっている。
これに対し我が国は、86年から、構造調整政策支援のため、有償資金協力を通じIDA(国際開発協会)の「アフリカ基金」との特別協調融資(SJF)(333億円、86~89年)、「アフリカのための特別支援プログラム」(Special Program of Assistance for Africa;SPA)におけるIDAとの協調融資(520億円、88~90年)を実施してきた。これはその後SPA II(91~93年)、SPA III(94~96年)、SPA IV(97~99年)、SPA V(2000~2003年)と期間を延長して継続されており、我が国も引き続きこれに貢献している(SPA V以降、「アフリカとの戦略的パートナーシップ」(Strategic Partnership with Africa)に改名している)。
また、無償資金協力の分野では、経済構造改善努力支援無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)を実施しており、アフリカ諸国に対しては87年度から99年度の間に合計1,941億円を供与した。この援助は、主にアフリカ諸国を対象として開始され徐々に対象国を非アフリカ諸国に広げてきた経緯があるが、上記SPA I~IVの枠組みを通じ欧米諸国との間で対アフリカ援助に関する援助協調を実施してきていること等から、関係諸国・機関の高い評価を得ている。