(1) 我が国は、特に70年代後半から対アフリカ援助の拡充に努めており、79年には我が国二国間ODA総額の約10%を占めるに至った。その後、有償資金協力及び無償資金協力双方を通じた構造調整支援の大幅増により、89年には二国間ODA総額の15.3%に相当する10億3,964万ドルに達したが、多くの国における累積債務問題の深刻化に伴う有償資金協力の減少、一部地域での情勢の不安定化に伴う援助停止、アジア経済危機に伴う対アジア地域援助の増加等のため、90年以降二国間ODA総額に占める割合は概ね10%前後で推移し、99年には9億9,462万ドルで9.5%となった。
アフリカ諸国の関係においては、人道的観点からの援助ニーズは依然として広く存在しており、我が国は全てのアフリカ諸国に対し緊急援助を含む援助実績を有している。
同時に、我が国は、国際機関のノウハウ、ネットワークの活用という観点から、アフリカ開発銀行(AfDB)及びアフリカ開発基金(AfDF)等の取り組みを支援しており、我が国のこれらに対する出資及び拠出は域外加盟国中それぞれ第2位及び第1位である。また、「アフリカのための特別支援プログラム」(Special Program of Assistance for Africa, SPA 注:SPA V(2000~2002年)以降、「アフリカとの戦略的パートナーシップ(Strategic Partnership with Africa)」と改名)における世銀との協調融資、世銀・IMFの支援を受けた構造調整政策の実施を前提とした経済構造改善努力支援無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)という形で国際機関との協調を図りつつアフリカ支援を行っている。更に、平成12年度には、世界の貧困問題に対処する目的で、世銀に対し日本特別基金として「日本社会開発基金」を設定し、100億円を拠出した。
(2) 我が国の対アフリカ二国間ODAの特徴は無償資金協力の比重が高いことであり、99年支出純額では、その69.7%が無償資金協力である(因みに、我が国二国間ODA全体に占める無償資金協力のシェアは29.7%)。一方、我が国二国間ODA全体の47.3%を占める有償資金協力の比重は、対アフリカ援助においては1.6%に留まっている。これは、近年の累積債務問題の中でアフリカにおいて債務負担能力の問題から円借款を供与しうる国がそもそも少なくなったこと、国連貿易開発会議(UNCTAD)の貿易開発理事会(TDB)決議を受けた対LLDC援助の原則無償化という基本的方針に基づき多くのアフリカ諸国を含むLLDCに対し、積極的に無償資金協力で対応してきたこと等によるものである。
(3) 99年度の対アフリカ無償資金協力実績は、交換公文ベースで総額約693.08億円(アフリカ難民向け援助を含む。)と98年度の約726.39億円(同)に比べて減額している。
対アフリカの無償資金協力の特徴としては、食糧援助、食糧増産援助を含む基礎生活分野への援助の比重が大きいことが挙げられる。また、これまで基本的に円借款で対応してきた道路等の基礎インフラ整備についても、LLDCを中心とする開発途上国の財政事情等を考慮し、個別の案件に応じて無償資金協力により対応している。
草の根無償資金協力は、開発途上国の地方政府、途上国において活動している内外NGO等からの比較的小規模なプロジェクト要請に対し、迅速かつ的確に対応する支援スキームである。99年度は31カ国のアフリカ諸国に対し、276件で合計14.23億円の援助を実施し、金額ベースでは全プロジェクトに占めるアフリカ諸国の割合は約20.3%と比較的大きい。
また、経済構造改善努力支援無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)については、99年度は6カ国に対し合計69億円を供与している。このうち、98年度より、ノン・プロジェクト無償資金協力の見返り資金(注:供与された円貨資金により輸入された物資の売却・貸付や被援助国政府の財政措置により積み立てられる現地通貨)を、開発途上国が策定している環境保全や社会開発分野における開発プログラムの実施に活用する環境・社会開発セクター・プログラム無償資金協力を開始し、98年度はエティオピア、セネガル及びジンバブエの3カ国に対し合計14億円、99年度はガーナ、ザンビア、タンザニアの3カ国に対し合計45億円を供与している。
技術協力については、99年度は42カ国に協力実績があり、保健・医療、農業等の分野での研修員受入、保健・医療、人造り等の分野での専門家派遣、農業、社会基盤等の分野での調査団派遣、人造り、工業等の分野での青年海外協力隊派遣、農業、水供給等の分野での開発調査等を実施している。特に、青年海外協力隊派遣におけるアフリカの比重は非常に高く、99年度までの累計人数の31.3%を占めているのが大きな特徴である。
有償資金協力については、債務返済能力に問題のある国が多いことから供与対象国が少ないが、99年度は債務繰延べを含め5カ国に対し合計122.99億円を供与しており、98年度(4カ国に対し306.78億円)に比べ減少している。
(4) 難民・災害援助
アフリカにおける難民問題については、人道的考慮から、また地域の平和と安定の維持の観点からもその解決に努める必要があり、我が国は各国の難民・国内被災民向け援助(各国実績参照)のほか、国連世界食料計画(WFP)を経由した食糧援助、国連人権高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)等への資金拠出等(表―7参照)を積極的に行っている。99年度は、アンゴラ、エティオピア及びエリトリアの国内被災民などに対し、WFPを通じ合計472万ドルの緊急無償援助を実施した。
また、本年の初旬に南部アフリカ諸国を中心に甚大な被害を与えた大洪水発生後、我が国は特に被害の大きかったモザンビークに対し緊急援助隊派遣、緊急無償・物資供与、食料援助など、総額約500万ドルの協力を実施した。