第3章 事後評価結果の分析
4.評価結果のフィードバック
評価は、その結果が適切にフィードバックされ、有効に活用されることが重要です。 主にフィードバック先に着眼点を置き、外務省、JICAおよびJBICの評価結果の活用について解説します。 以下は、評価結果、および導き出された教訓・提言の主なフィードバック先と活用状況です。 近年、各機関はフィードバックの強化も図ってきており、効果的・効率的な援助の実施に役立てています。
(1)外務省評価のフィードバック先と活用状況
(イ)政策当局へのフィードバック
外務省が実施する国別評価(98年度はエル・サルヴァドル、モンゴルについて実施)、援助実施体制評価(同セネガル)、特定テーマ評価(同カンボディアの貧困)、合同評価(同フィリピン)、有識者評価(同既述の12ヶ国)では、我が国の援助政策に関する教訓・提言が出されますが、これらの教訓・提言が将来の援助政策の立案・策定過程に反映されています。 具体的には、評価調査の終了後、外務省の関係各課が参加する報告会が開催され、援助政策の企画・立案を担当する担当課により、対応策が協議されるとともに今後の政策に反映されています。 また、完成した報告書も関係各課に配付され、今後の援助政策の企画・立案に活用されます。なお、これらの報告書は一般公開されています。
(ロ)援助実施機関(JlCA・JBIC)へのフィードバック
外務省の評価調査で得られた教訓・提言は、報告会の開催や報告書の配付を通じて、援助実施機関(JICA・JBIC)の将来の援助実施方針、およびプロジェクト形成・審査の検討材料として、役立てられています。 また、新規プロジェクトの実施・監理の質の向上に役立てています。 さらに、指摘された問題点について具体的なフォローアップ措置を講じています。
(ハ)被援助国側ヘのフィードバック
被援助国側の責任に帰すべき問題点が指摘された場合、現地の日本大使館を通じて、或いは政策対話の場などにおいて、被援助国政府に改善を申し入れています。
国別評価については、評価実施後に評価対象国にて、援助受入窓口機関の担当者、政策立案部署の担当者、その他一般の有識者や研究者の参加を得て、ODA評価セミナーを開催し、その国の関係者に対する評価結果の確実なフィードバックを行っています。
(ニ)「経済協力評価報告書」として公表
日本のODAに対する国民の理解増進の一助とするため、評価結果を「経済協力評価報告書」(和・英文)により公表しています。 他の主要援助国、国際援助機関においては、評価結果について非公表、又は一部要約の形での公表も多い中、日本は最も情報公開が進んだ国の一つとなっています。
(ホ)インターネットによる公表
上記「経済協力評価報告書」の和文要約版及び英文版を外務省のホームページで公開しています。 また、本年度から評価が終了したものから迅速にホームページで公開していく方針を採用し、まず7月に有識者評価8件が公開されていますが、今後も随時公開していく予定です。
(ヘ)国内セミナーの開催
国内の援助関係者、有識者などを対象として、特定テーマ評価の結果に基づくセミナーを開催しています(98年度は、カンボディアにおける「貧困」をテーマとした評価結果に関するODA評価セミナーを開催しました)。
(2)JICA・JBIC評価のフィードバック先と活用状況
(イ)機関内部へのフィードバック
教訓・提言を、将来の国別事業計画およびプロジェクト形成・審査の検討材料として役立てています。 また、新規プロジェクトの実施・監理の質の向上に役立てる。 さらに、指摘された問題点を関連事業部または業務部へフィードバックし、具体的なフォローアップ措置を講じています。
(ロ)被援助国側へのフィードバック
被援助国側の責任に帰すべき問題点が指摘された場合、在外事務所を通じて、或いは被援助国側政府または実施機関との対話を通じ、改善を申し入れています。
JICAの国別事業評価、合同評価等では、評価実施後、評価セミナーを評価対象国で開催し、その国の関係者に対する評価結果の確実なフィードバックを行っています。
JBICでは、すべての事後評価において、評価報告書を英訳して被援助国の事業実施機関等に提出しており、特に実施機関、被援助国政府の担当者等多くの関係者に対して評価結果への理解を深めてもらう必要性が高い場合には、現地でフィードバックセミナー等を開催しています。
(ハ)政策当局へのフィードバック
個別プロジェクトの評価結果は、報告会や報告書の配付を通じて、政策当局である外務省へ随時報告され、個別プロジェクトのもととなる援助政策の立案にフィードバックされています。
(ニ)報告書として公表
JICAは「事業評価報告書」により、JBICは「円借款案件事後評価報告書」および開発援助研究所の所報により評価結果を公表しています。
事業評価報告書
(2000年12年6月)
(国際協力事業団)円借款案件事後評価報告書
(1999年8月)
国際協力銀行
(公表当時、海外経済協力基金)
評価結果の活用
(参考)
主なODA評価に関する資料
1.報告書 ・最新評価レポート(速報版)(和文(インターネットのみの掲載)) http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu2/index.html ・経済協力評価報告書(和文および英文概要)
http://www.mofa.go.jp/policy/oda/evaluation/annual_report_2000/index.html(英文概要)外務省経済協力局評価室 ・事業評価報告書
http://www.jica.go.jp/evaluation/general13/index.html(和文)JICA評価監理室 ・円借款案件事後評価報告書
http://www.jbic.go.jp/japanese/oec/post/2001/index.php(和文)JBICプロジェクト
開発事業評価室・主要援助国国際機関における評価制度調査 外務省経済協力局評価室 ・NGO・外務省相互学習と共同評価報告書 外務省経済協力局評価室 ・事後評価分野別分析からの教訓~ODA評価研究会報告~ 外務省経済協力局評価室 2.評価のガイドライン及び手引き ・国別評価ガイドライン(和文・英文) 外務省経済協力局評価室 ・有識者評価ガイドライン(和文・英文) 外務省経済協力局評価室 ・経済協力評価のためのレイティング・ガイドライン 外務省経済協力局評価室 ・わかりやすいプロジェクト評価のてびき JICA評価監理室
(インターネット上にも掲載)3.ビデオ 外務省経済協力局評価室 ・我が国の経済協力評価活動~より効果的・効率的な援助をめざして~
(英語版) Evaluation Activities of Japan's Economic Cooperation
~for more effective and efficient assistance~・インダスの地に根づくODA:被援助国関係者による評価
(英語版) ODA TAKES ROOT IN THE LAND OF THE INDUS:
ODA EVALUATION BYRECIPIENT-COUNTRY PERSONNEL・アフリ力の人々と共に~日本のODA活動~(日本語版のみ) (インターネット・アドレス) 外務省 http://www.mofa.go.jp JICA http://www.jica.go.jp JBIC http://www.jbic.go.jp
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