第2章 最近の我が国ODA評価に関する改善の動き
前章で説明したように、ODA評価体制は真に「改革期」にあると言えましょう。 99年11月の「ODA評価体制」の改善に関する中間報告、及び2000年3月の同最終報告書の提出も踏まえて、現在、外務省は、ODA評価システムを、より一層改善すべく数々の取組みを進めています。 また、実施機関であるJICA、JBICでも同様にODA評価改善に向けての取組みが行なわれています。 限られた人員など多くの不十分な点を抱えた我が国のODA実施体制の中で、提言をそのまま実施することは容易ではありませんが、よりよい援助を目指し、種々の努力がなされねばなりません。 このような努力の概要を簡単に説明します。
1.政策レベル及びプログラム・レベル評価へ向けての取組み
外務省では、2000年度予算のもとで、政策レベル及びプログラム・レベルの評価手法に関して調査研究を実施することを決定しました。 まず、この分野の評価手法を研究するため、他の援助国や国際機関に調査団を派遣して現状を把握した上で、我が国として導入することが適切な政策レベル及びプログラム・レベルの評価手法を検討します。 そして、検討され提案された評価手法を特定の途上国を対象に適用し、その実施可能性を検証することにしています。 具体的には6月下旬から7月上旬に、世界銀行、国連開発計画(UNDP)、経済協力開発機構(OECD)、国連食糧農業機関(FAO)などの国際機関や、アメリ力国際開発庁(USAID)、カナダ国際開発庁(CIDA)、イギリス、フランス、ドイツ、北欧諸国などの援助機関を対象として、評価手法に関する調査を実施し、調査結果を取り纏める予定です。 また、2000年後半に、特定の途上国を選定して、取り纏められた調査結果で提案される予定の評価手法を実際に適用して、その有効性を検証して、改善に関するさらなる提言を得る予定です。
また、外務省が従来から実施している既存の国別評価(98年度はエル・サルヴァドル及びモンゴルを対象に実施)及び援助実施体制評価(同セネガルを対象に実施)を今後拡充し、それらの評価においては原則として個別プロジェクトの評価よりも、政策レベルの観点を重視した評価を強化することにしています。 プログラム・レベルの評価としては、上記調査による評価手法の検討も踏まえて、今後重要性が高まると思われるいくつかの分野や課題を選んで評価を実施したいと考えています。
さらに、十分に評価が実施されていないと報告書で提言のあった事業に対する評価を実施していくことが課題となっています。 具体的には、研修員受入事業、専門家派遣事業、青年海外協力隊事業に関する評価などです。 さらに、これらの分野別や援助形態別の評価については、外務省と、実施機関であるJICA・JBICが緊密な連携を図りならが実施していくことにしています。 また、従来は個別プロジェクトの評価を中心に行なっていたJICA・JBICでもプログラム・レベルの評価を積極的に拡充していく予定です。
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