米州開発銀行(IDB:Inter-American Development Bank)の概要と事業実績


  1. 設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的

    (1) 開始時期
     IDBは1959年に設立された。我が国はアジアからの唯一の加盟国として76年より他の域外国とともに加盟した。

    (2) 経緯・目的
     IDBは中南米及びカリブ海地域の途上国の経済的・社会的開発を促進することを目的として設立された(本部ワシントン)。99年末現在で46か国が加盟している。そのうち米州域から28か国(26の中南米諸国とアメリカ及びカナダ)、また域外のメンバー国としてヨーロッパ、中近東(イスラエル)、アジア(日本)から18か国が加盟している

  2. 事業の仕組み

    (1) 概要
     IDBの主な機能は、(1)開発途上加盟国に対する資金の貸付、(2)開発プロジェクト・開発プログラムの準備・執行のための技術支援及び助言業務等である。
     IDBの財源には、比較的所得の高い開発途上加盟国に準商業ベースで貸付を行うのに使用される「通常資本(OC)」と、低所得国向けに緩和された条件で貸付を行うのに使用される「特別業務基金(FSO)」がある。99年末現在、OCは1009億ドル、FSOは96億ドルとなっている。

    (2) 審査・決定プロセス
     借入国と協議の上、プロジェクト・プログラムを策定し、理事会において審査・決定がなされる。

    (3) 決定後の案件実施の仕組み
     借入国が案件を実施し、IDBはモニタリングを行っている。

  3. 最近の活動内容

    (1) 概要
     開発プロジェクト等の融資財源は通常資本財源(OC)と特別業務基金(FSO)からなり、OCからの融資は準コマーシャル・ベースで実施されるのに対して、FSOからの融資は長期で低利のより緩和された条件で実施されている。

    (2) 主要な事業
     98年の融資総額は、OCが93億ドル、FSOが7億ドル、98年はOCが94億ドル、FSOが4億ドルである。これを分野別(99年)に見ると、保健・衛生、都市開発、教育等の社会部門が43億ドル(総額比45.1%)、エネルギー、運輸・通信等のインフラ分野が11億ドル(総額比11.2%)、農林・漁業、鉱工業・観光等の生産部門が16億ドル(総額比16.5%)となっており、社会セクター支援に重点を置いている。

  4. 我が国との関係

    (1) 意志決定機構における我が国の位置づけ
     最高意思決定機関は、各加盟国の総務により構成される総務会であり、我が国は大蔵大臣が総務に任命されている。また、融資の承認等の日常業務の意思決定は14人の理事(域内11名、域外3名)からなる理事会で行われており、我が国からも常時、理事が選任されている。

    (2) 事務局における邦人職員
     専門職1,148名のうち日本人16名(99年末現在)

    (3) 我が国の財政負担
     通常資本資本金(応募ベース)1,009億ドルのうち、我が国の出資額は51億ドル(シェア5.0%)であり、域外国中第1位。また、特別業務基金96億ドルのうち我が国の拠出額は6.4億ドル(シェア6.6%)であり、域外国中第1位である。

    (4) ジャパンファンドの有無

    98年度拠出 約14.3億円
    99年度拠出 約9.4億円
     使途(1)プロジェクトの案件発掘や事業化のための事前調査などプロジェクトの案件形成に対する支援
    (2)開発途上国政府の制度の企画・立案等に対する政策助言の支援
    (3)開発途上国政府職員等を対象とした研修プログラムの実施など人材育成活動の支援、我が国の人的貢献を支援
     なお、99年度において日本特別基金による支援は31件(実績)であり、主なものを列記すれば以下のとおりである。

    国 名案 件 名承認額セクター
    ニカラグア青少年緊急支援プログラム550,000社会
    ホンジュラス教育・保健医療パイロットプロジェクト750,000社会
    ペルー妊娠出産期母子対象健康保険185,000社会
    グアテマラ森林管理プロジェクト149,000環境
    ブラジルアクレ州森林管理750,000環境
    コロンビアコーヒーベルト地帯廃棄物プロジェクト740,000環境
    トリニタード・トバゴ森林管理インベントリアクションプラン150,000環境
    ガイアナ道路評価・デザインプロジェクト525,300インフラ
    ウルグアイインフラ情報システム整備プロジェクト750,000インフラ
    ベリーズキーコーカ島上下水道プロジェクト195,250インフラ

    (5) 我が国ODAとの協調実績
     99年のIDBと我が国機関との協調融資の実績は5.9億ドルに上り、我が国は単独国としてIDBの最大の協調融資相手国となっている。IDBと国際協力銀行の間でブラジル開発銀行マルチセクタークレジットプログラム(3億ドル)他1件、合計2案件5億ドル、IDBと国際協力事業団との間で対ホンジュラス・道路・水道緊急融資プログラム他1件、合計3案件0.9億ドルの協調融資を実施した。

     ※上記には旧日本輸出入銀行との協調融資(OOF)を含む。

  5. より詳細な情報

    (1) ホームページ
     ホームページのURL:http://www.iadb.org

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