食糧増産援助(2KR)の概要と実績


  1. 事業の開始の時期・経緯・目的

    (1) 開始時期
     昭和52年度より、食糧増産援助としての特別の予算措置を講じて、農業資機材の供与を開始。

    (2) 経緯・目的
     我が国は、開発途上国の食糧問題は、基本的には開発途上国自らの食糧自給のための自助努力により解決されることが重要との観点から、昭和52年度以前は、食糧援助による供与品目の一つとして農業資機材を供与していたが、昭和52年度からは食糧増産援助として新たな枠組みを設け、農業資機材の供与を行っている。
     (因みに、2KRとは食糧援助の略称のKRに準じた呼称であり、我が国独自の用語である。)

  2. 事業の仕組み

    (1) 概要
     被援助国による食糧増産計画に関する要請に基づき、当該国の食糧事情、経済社会情勢、外貨事情、我が国との関係、援助受入体制等を総合的に勘案し、被援助国が農業機械(耕耘機、トラクター、脱穀機、小型農機具等)、肥料、農薬などの農業資機材を購入するための資金を供与している。

    (2) 審査・決定プロセス
     我が国の在外公館を通じ被援助国から援助要請がなされた後、外務省において、現地調査を踏まえつつ要請資機材、数量、調達先、受け入れ体制、援助効果等につき審査し、実施の可否等につき政府部内で検討した後、我が国政府としての決定を行う。

    (3) 決定後の案件実施の仕組み
     我が国政府として実施を決定した後、被援助国政府との間で、供与限度額、資機材の品目及び調達先等を定めた資金供与に関する交換公文の署名を行う。交換公文署名後は、被援助国政府が行う資機材調達のため日本企業による一般競争入札により落札業者が決定され、被援助国政府は落札業者との間で調達に係る契約書を締結する(契約締結に先立ち、外務省は契約書の認証を行う)。業者が右契約書に基づき資機材を船積みした後、資金は業者への支払いを可能にするよう指定銀行の被援助国口座に払い込まれる。交換公文の署名以後は、JICAが援助の実施促進のための支援業務を行う。
     なお、被援助国政府は、我が国が援助資金(外貨)を供与することにより生じる内貨の余剰のうち一定額を内貨立ての銀行口座に積み立てることとしている(見返り資金)。被援助国政府は、在外公館を通じて我が国と使途につき協議の上、見返り資金を経済・社会開発に資する事業や物資の調達等に使用することができる。

  3. 最近の活動報告

    (1) 活動の概要
     平成10年度は、49ヶ国に対し計263億円(予算ベース、以下同じ)の食糧増産援助を実施。

    (2) 地域別実績
     平成10年度の食糧増産援助のうち、最大の対象地域は食糧不足が深刻な問題となっているアフリカであり、具体的には21ヶ国に対し、84.9億円を供与している。アフリカに次いで大きな対象地域は経済危機やエルニーニョ現象による洪水等の被害のあったアジアで、8ヶ国、78.4億円となっている。その他、ハリケーンの被害が甚大であった中南米が、9ヶ国、52.6億円、中近東が4ヶ国、22億円、東欧・中央アジアが7ヶ国、25.1億円となっている。


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