アフリカ開発銀行(AfDB:African Development Bank)及び アフリカ開発基金(AfDF:African Development Fund)の概要と事業実績


  1. 設立根拠・目的

     AfDBは1964年にアフリカ地域の途上国の経済的・社会的開発を促進することを目的として設立された(本部:コートジボアールアビジャン)。98年末現在で77カ国が加盟している。アフリカ域内から53カ国、また域外のメンバー国から24カ国が加盟。我が国は83年に加盟した。
     AfDFは1972年に設立された機関。IBRDに対するIDAに相当しており、AfDBが準商業ベースで貸付けを行っているのに対し、AfDFはそうした条件での借入が困難な国に対して、より緩和された条件で融資を行っている。98年末現在、域外国26カ国及びAfDBが加盟している。日本はAfDF設立当初からの加盟国である。

  2. 最近(過去2年間)の活動内容

     AfDBからの融資は準コマーシャル・ベースで実施されるのに対して、AfDFからの融資は長期で無利子(手数料のみ)のより緩和された条件で実施されている。
     97年の融資総額は承認ベースで、AfDBが8.0億ドル、AfDFが10.8億ドル、98年はAfDBが9.3億ドル、AfDFが8.1億ドルである。 両機関は深刻な債務危機に瀕している国に対する構造調整融資や貧困削減、また運輸・通信といった経済インフラや衛生・教育などの社会インフラにも積極的に取り組んでいる。
     これを部門別(98年)に見ると、多目的(構造調整・貧困削減等)部門が5.2億ドル(総額比31.7%)、公共部門が4.4億ドル(総額比26.5%)、社会部門が3.0億ドル(総額比17.9%)、農業部門が2.4億ドル(総額比14.3%)、運輸部門が0.9億ドル(総額比5.5%)などとなっている。

  3. 我が国との関係

    (1) 意志決定機構における我が国の位置づけ
     最高意思決定機関は、各加盟国の総務により構成される総務会であり、我が国は大蔵大臣が総務に任命されている。また、融資承認等の日常業務の意思決定は18人の理事(域内12名、域外6名)からなる理事会で行われており、我が国からも常時、理事が選任されている。

    (2) 事務局における邦人職員
     専門職567名のうち日本人2名(98年末現在)

    (3) 財政負担
     AfDBの資本金224億ドル相当額のうち、我が国の出資額は10.4億ドル相当額(シェア4.6%)であり、域外国中第2位。また、AfDFの資本金131億ドル相当額のうち、我が国の拠出額は18億ドル相当額(シェア13.9%)であり、域外国中第1位である。
     (注)原公表金額単位はUA(98年1UA=1.40803US$)

    (4) 主な使途を明示した特定信託基金への拠出、活用状況
     開発政策・人材育成基金として以下の使途に供するため1994年に設けられた。

     (1) プロジェクトの案件発掘や事業化のための事前調査などプロジェクトの案件形成に対する支援
     (2) 開発途上国の制度の企画・立案等に対する政策助言の支援
     (3) 開発途上国政府職員等を対象とした研修プログラムの実施など人材育成活動の支援、我が国の人的貢献を支援
     なお、これまでに約12.6億円の拠出をしており、98年度における支援案件は以下の11件である。

    国名案件名承認額(千ドル)
    ケニア貧困削減フィージビリティー・スタディ185
    ジンバブエ家畜業フィージビリティー・スタディ1,025
    複数国アフリカ諸国政府幹部セミナー261
    複数国奨学金369
    アルジェリア住宅政策技術支援57
    エチオピア水道・衛生フィージピリティー・スタディ24
    複数国遊牧民少年教育等394
    複数国金融政策セミナー210
    セイシェルマクロ経済計画64
    ウガンダ貧困削減準備調査111
    複数国非政府保証融資需要調査178

    (5) 我が国ODAとの協調実績
     海外経済協力基金との間で、ガーナのアチモタ-アニナム道路整備事業(協調融資額96.51億円、プレッジ・ベース)が取上げられた(97年度)。


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